YDGsのミッション~ゆとりある心~の目標5つについて詳細に解説します。

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はじめに

前回の記事では、SDGsを社会福祉法人のビジョンに組み込んだYDGs~優しい心~の目標5つについて詳細に解説させていただきました。本記事においては、ビジョンを実現するためのミッションの3本柱の2つ目の項目である「ゆとりある心」についてお話させていただきます。

ミッション ~ゆとりある心~

辞書によると「ゆとり」とは、~物事に余裕があり窮屈でないこと、精神的な余裕~といった意味を示しています。支援を行ううえでゆとりがないと、余裕がないあまり粗雑な対応をしたり、イライラした態度を相手に示し不快感を与えてしまうことがあります。

余裕がありすぎて気を抜くと事故の原因につながりますが、時間的・精神的ゆとりに欠けることも事故及びサービスの質の低下につながります。適度なゆとりをもつことは良質なサービスを提供できる要件のひとつと言って間違いありません。

  • ゆとり」=物事に余裕があること。時間的、精神的、物的、金銭の様々な項目が対象となります。
  • 様々なゆとりがあることで良質なサービスにつながります。

目標6:経済好循環を生み出そう

6_経済好循環を生み出そう

地域に根差した就労支援事業を展開し、地域経済の好循環拡大に貢献しましょう

経済活動を通じて地域社会とつながりを

働くことは人や社会と関わることであり、地域とのつながりを生み出します。
持てる力を最大限に発揮するとともに、就労環境を整えることで経済活動に参画しましょう。

地域の持続可能性を高めるには、地域経済の好循環を生み出す必要があります。地域の稼ぐ力を向上するために生産性を高め、地産地消を心がけ、得た所得を地域内で循環させ、地域外への過度な流出を抑えることで、地域全体の所得向上を実現する経済活動を行います。

-解説-

近年、地方では主に若年層の人口流出による労働力不足が社会課題としてあげられています。
障がい福祉分野では就労支援サービスがあり「働く」ことについて様々な支援を行っています。

当法人でも就労継続支援事業A型及びB型での就労支援や、障がい者雇用を推進し一般就労につなげる就業・生活支援センターを受託しています。
(悠久会の就労支援サービスについて知りたい方は「悠久会の働く」についてをご確認ください。)

農福連携等の言葉があるように、労働力不足の農業分野で活躍が期待されるなど、地域の労働力不足問題の解決に就労支援事業所が貢献しています。農業分野以外にも市有地の管理清掃業務や除草作業等の分野でも活躍しています。

  • 働くことで社会とつながることができます。
  • 障がいを持つ方の労働力が地域の労働力不足問題へ貢献しています。

地方創生と地域経済循環
2008年より始まった人口減少、特に地方部において経済衰退や若年者層の都市部への流出への課題がより深刻な問題と認識され、2014年に増田レポートにおいて「2040年までに日本の過半数となる896の地方自治体では消滅の可能性が高い」と指摘がされる等、地域経済社会の持続可能性は解決が求められる社会課題です。

ちなみに社会福祉法人 悠久会の活動エリアである島原半島三市(島原市・雲仙市・南島原市)では1950年には人口23万人でしたが、2015年には14万9千人まで減少しており、長崎県も1960年に176万人をピークに2015年には138万人まで減少しています。

その流れの中で東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした「地方創生」を国が掲げました。

地方創生の目標の一つに
稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする」と掲げられており、地域経済の活性化が求められています。
参考:内閣府「地方創生」 / まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」「基本方針」/ 2021年7月15日

しかし、稼ぐ視点だけではなく、地域経済を活性化させるには所得の流出や分配も考慮せねばなりません。

  • ①生産・販売(所得向上)
  • ②分配(家計・企業)
  • ③支出(消費・投資)

この三面の総合的バランスを考慮することが重視されています。
地域で稼ぐ力を付けて所得を得て、得た所得の流出を防ぎ、地域住民に分配」する視点が必要です。
稼ぐ力を得て、所得を向上させても地域外資本の商店で買い物をすると利益が地域内で還元されず地域外の本社(上場企業の半数程度は東京に本社を置いています)へ吸い上げる本社機能による利益移出が行われます。また、観光客が訪れ観光消費額が増加しても食材やお土産品が地域外からの調達であれば、地域外へ所得が流出します。

地域経済活性を客観的に把握する考え方として下記の二つの考え方があります。

漏れバケツ理論(英国のNEFが提唱)
地域内にお金を注ぎ込んでも、バケツに穴が空いていれば漏れ出てしまうとの例えが示すように、
地域内で物品を調達したり、地域内で消費を活性化することでバケツの漏れ(所得の流出)を防ぎ、地域経済の活性化につながります。

地域内乗数効果
地域内乗数効果とは地域内に流入した所得の地域外への流出を防ぎ、地域内の人々に分配された場合に、どの程度の効果があったか算出することができる指標です。

参考HP:JFS 「地域の経済と幸せ」プロジェクト2013 / 2021年7月15日
参考資料:「漏れバケツ理論~地域内乗数効果とはどのような考え方か~〔PDF〕」2021年7月15日

当法人では実際の経済効果を算出するまでには至っていませんが、地域経済活性化施策等を参考にし地域経済を循環させる就労支援事業および調達を推進していきたいと思っています。

社会福祉法人 悠久会では地域経済を活性化するべく、地元島原半島および長崎県内の食材等の地産地消を推進しています。

就労支援事業においても地元である島原の食材を活かしたおむすび等を販売し地域内経済循環を高めています。
取り組みの詳細は地産地消を推進する「おむすびカフェむすびす」のHPをご覧ください。

参考HP:環境省「地域経済循環分析」2021年7月15日
参考資料:環境省HP/地域経済循環分析について[PDF 616KB]

【地域循環共生圏とは】
地域でのSDGsを実践(ローカルSDGs)するために、豊かで美しい自然や文化・観光資源等を最大限に活用しながら地域内にて自立分散(オーナーシップ)相互連携(ネットワーク)循環・共生(サスティナブル)していくことにより、地域の活力を最大限に発揮した圏域の構築を目指すものです。

目標7:個々が輝く組織であろう

7_個々が輝く組織であろう

法人の有するポテンシャルを最大限発揮できる組織を作り、共生社会の実現に向けて皆で協働しましょう。

パートナーシップ構築

あらゆる人々がその潜在能力を最大限発揮し、互いの関わりを深め調和する心豊かな共生社会を実現させることが社会福祉法人の使命です。

組織のパフォーマンス最大限に高めるために、まずはお互いの職務を尊重し協力し合える信頼関係を築き、組織間の垣根を越えて連携できる組織風土を作ります。お互いが信頼できる関係性を築くことで私達自身の潜在能力が最大限発揮されるのです。

さらに、ニーズの変化にしなやかさをもって柔軟に対応できる適応力を身につけ、法人内外の関係性を高め越境してともに地域の課題解決の共に取り組むことができるパートナーシップを築ける人材を育成します。

-解説-

人や組織のポテンシャルを最大限発揮するためには、連携・協力することが欠かせません。
目的が共有できていない、他者の足を引っ張り合う、人が困っていても協力しない、お互いが何をやっているのか知らないし興味もないような組織では高いパフォーマンスは期待できません。

そもそも、そのような状態は組織と言うより烏合の衆という表現が適しているかと思われます。1+1=2以上であることが組織で事業を行う意義なのです。

近年Googleにおいても心理的安全性がパフォーマンスを高めるうえで重要視されるなど、相互に信頼関係があって、率直に意見交換できる活発化したチームをつくることが組織の目的を果たすために必要なのです。

心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。

参考HP:Google 「Re Work」/ 効果的なチームに固有の力学を突き止める。/ 2021年7月15日

まずは、お互いの職務を理解し、尊重するという姿勢が大事だと思います。こちらの仕事の方がキツいとかあっちが楽そうとか、価値の低い仕事だとか、他者の仕事を軽んじる組織風土があると職種間や事業所間での分断が生まれ、敵対関係や非協力関係が生まれてしまいます。お互いの仕事をリスペクトできる風土が望まれます。

無関心やコミュニケーション不足も誤解や軋轢の原因であり、たった一言が足りないばかりに不信感や争いが生まれてしまうこともあります。相手を知ること、相手の立場を想像してみるだけで、見えてくる景色が変わるのではないかと思います。

組織内で「言った」「言わない」の問題や「聞いた」「聞いてない」の問題等の責任転嫁で争いを起こす組織やチームもあるでしょう。

しかし、上記の問題は本質的には重要ではなく本当に大切なことは課題解決をするために何が必要なのか、組織をより良くするためにどう行動すべきか、コミュニケーション不全による弊害が出ているならどのようにカバーやリカバリーをするべきか、同じ問題を防ぐにはどう改善するべきかを考えるべきなのです。

組織外の人からすれば組織内の誰が悪いとか正しいとかの問題は関係なく、結果としてあらわれる成果のみでしか判断しません。

信頼関係が構築されていない組織等では失敗の際は責任のなすりつけあいや更なる組織分断及びセクショナリズムを誘発し組織全体としての非効率や生産性の低下を招きかねません。しかし、心理的安全性及び信頼関係が構築されている組織やチームであれば建設的な意見が生まれ失敗をバネとして組織力やパフォーマンスを高めます。

SDGsの目標達成のためにはパートナーシップが重要であるように、大きなビジョンを達成するには自法人のみの力で社会課題を解決しようとするのではなく、ありとあらゆるステークホルダーとの連携が必要です。

自法人での事業所の垣根を越えた横断的な連携は当然として、他法人との連携、関係機関との連携、さらには福祉分野以外のインフォーマルな地域団体やNPO、一般企業等のありとあらゆる人達と連携ができる、パートナーシップを構築できる人材が必要なのです。

  • 他者の立場を尊重し、お互いの仕事をリスペクトしよう。
  • お互いを信頼しあう、心理的安全性の高いチームが組織のパフォーマンスを高めます。
  • 事業所間や組織の垣根を越えた横断的に連携できるパートナーシップを構築することがSDGsの達成や地域の社会課題を解決するために必要です。

目標8:信頼と納得に基づいた満足感を

8_信頼と納得に基づいた満足感を

最善・最良の支援を行いサービスの質の向上に努めることで信頼と納得を得ることにつながります。一人一人が業務改善力と実践力を身につけた組織をつくります。

ニーズや思いに応える支援の実践

自分たちが提供できるサービスから(提供者目線)から支援を組み立てるのではなく、ニーズから支援を導き出す必要があります。現在、顕在化しているニーズだけではなく潜在化しているニーズの発掘にも努めなければなりません。

そのためにはコミュニケーション及び視野を広く持ち地域の課題を知ること、時には自らアウトリーチしていく姿勢が必要です。独善的な支援にならぬよう常に自分自身を省察し、知識や技術のアップデートを行い、福祉理念や原理原則を疎かにせず、テクニック偏重主義に陥らないようにしましょう。

「納得」には、客観性やエビデンスの担保、科学的介護の導入と実践が求められ
「信頼」には、職務に誠実であることや理念に基づいた言動を行うことが求められるのです

-解説-

前回の記事のYDGsの目標1「尊厳のある生活を実現しよう」で意思決定支援の説明の際にも述べたとおり、声に出しているニーズがすべてなのではなく、声に出せないニーズ(言語化できない、遠慮して言えない)も存在します。

福祉以外のサービス業でも、顧客の不平不満が全てクレームとして表に出るのではなく「もう二度と利用しない」という選択肢を選ぶ人が多いでしょう。

信頼関係を構築し、意思を表明しやすい環境をつくるのは当然に、意思をくみ取る感受性と想像力も必要です。
さらに一歩進んで相手が思いつかない、気づいてもいないニーズ(潜在的ニーズ)に対応できると理想的です。

地域の社会課題や福祉課題を発見・対応するという姿勢も必要です。そのためには積極的にアウトリーチをすること、自ら外に出て情報を集めるべく、様々な人達と対話をすることも求められます。

ニーズを発見しても対応力や支援力不足で解決策を提示できないと問題ですので、日頃から対応力の幅を広げるべく知識技術を磨くことも必要です。

納得と信頼

【納得】
EBM(Evidence-based Medicine:最新かつ最良の根拠・エビデンス)
科学的介護の言葉が示すように根拠に基づく支援を提供する視点も必要でしょう。主観にまみれた独善的な支援が利用者に不利益を与える危険性があります。

【信頼】
暖かな関係性をつくる。信頼関係を構築する等の知識やテクニック論のみでは作れない関係性。
職務に誠実であり福祉理念や原理原則を大事にし、倫理観に基づく一貫した言動が求められます。
信頼関係を得るには技術のみならず態度や姿勢等の「心」の要素が大事なのです。

  • 顕在的ニーズ(表に出てくるニーズ)のみでなく潜在的ニーズ(本人も気づいていない)にも対応できるようにしましょう。
  • 苦情や要望が出ていないからサービスに満足していると決めつけるのは早計です。遠慮して言えないだけかもしれません。
  • 新しいニーズにも対応できるように、日々、実践力を高めておきましょう。
  • 納得と信頼:エビデンスや科学的介護のみでなく、信頼関係や暖かな関係性という「心」の面にも着目した支援を行いましょう。

目標9:次へ踏み出す共感をみんなへ

9_次を踏み出す共感をみんなへ

オープンな組織風土を築き、地域からの共感を得るよう努め、まちや福祉の未来を担う次世代にその魅力を伝えましょう。

双方向コミュニケーション

共生社会を実現するには相互理解が必要であり、まずは私達が伝える努力を怠らないようにせねばなりません。また、一方的な発信にならないように双方向の対話を心がけます。

私達は福祉の垣根にとらわれず、福祉を含めた地域の課題全般に取り組むべく、福祉関係以外の地域の方達とも積極的に関わり、一方的に頼るだけではなく私達自身も頼られる存在となり「お互い様」の関係を構築していきます。

現状の課題のみにとらわれず、未来志向でこのまちの課題に取り組むべきであり、そのためには未来の福祉やまちづくりを担う次世代とも積極的に交流し、若い世代の興味や不安等にも関心を示しパートナーとして対話を行います。

-解説-

「伝えなければ伝わらない」
相手が知っていてくれるだろうと期待していても案外、知らないものです。

法人内の職員でさえも自法人のサービスを全て把握していない人もいるなど、対内的にも社内報等の冊子で作成し配布したり、朝礼や会議の場や日常の場面で伝える努力を惜しまないと伝わらないものです。

そのため社会福祉法人 悠久会では定期的に社内報を作成しています。また、このミッションの解説記事も対外向けのみではなく、悠久会の職員自身にも読んでもらいたいとの思いがあります。

日本人の持つ美徳の精神「謙虚、謙遜、奥ゆかしい・・」等から、社会福祉法人が良い取り組みをしていても発信を控えるのは古くからの国民性が原因かもしれません。社会福祉法人で積極的かつ創意工夫をして発信を行っている、一般企業のように専任の広報担当者を置いて洗練された情報発信を実施している法人は少数派ではないでしょうか。

しかし、時代は変わりつつあります。積極的に情報を発信し、掲げるビジョンに共感してもらい、地域の課題解決を行うために外部協力者やパートナーを得ることが必要な時ではないでしょうか。

SNS等の発達により共感やシェアがもたらすエネルギーの大きさは計り知れないものがあります。私達が目指す理想の社会を実現するには積極的に活用するべきでしょう。

しかし、現実を振り返ると法人内外問わず、当事者や関係者であっても認知はしているが深くは知らない。ましてや、それ以外の地域の人達は認知すらされてもらえていないのが現実ではないでしょうか?

目指すべき理想の状態としては、悠久会の取り組みや福祉全般について認知してもらい、興味や関心を持ってもらう。福祉分野や福祉に関係するまちづくり、地域での支え合いや助け合いに様々な人に携わってもらうアクションにつながることが目指すべき姿です。

この理想の状態を実現するにはどうすればよいのでしょうか?
マーケティングやサービス利用者(購入者)の意思決定プロセスを示す理論を参考にしてもよいかと思います。

AISAS

  • Attention・・・注目する
  • Interest・・・・興味関心を持つ
  • Search・・・・・検索する
  • Action・・・・行動(参画)、購入する
  • Share・・・・・意見共有

近年はSNSの普及もありShare(共有・共感)は重要なキーワードであり、多数の人からの共感を得るには欠かせないものです。活動に共感を得て、その共感を体験者以外の多数の他者に伝えてもらえる状態が理想的です。

AISASの考えに基づいたならば、福祉やSDGsに興味関心を抱いてもらい、Action(行動)につなげる。福祉やSDGs推進の場合は「参画」と言ってもいいかもしれません。最終的にShare(共有)の段階に進み、共感を抱いて他者に口コミやSNSで広げてもらうには様々なプロセスが必要であることがわかります。

そもそも認知され、関心をもってもらわないと共有(共感)の段階に進めません。福祉やSDGsに興味や関心を持たない層に対しては、関心を持ってもらう段階でもハードルは高いはずです。

一緒に行動及び参画してもらい共感を得るためには、前段階として地道な情報発信や発信内容の創意工夫が必要です。独りよがりの発信や、一方的に助けてもらうのではなく地域の方々から共感を得るような活動を行い、私達の活動が推進された結果としてまちが良くなる、地域の方々にとってもソーシャルグッド(有益)であることが伝わる活動を実践し、発信することが重要だと思います。

発信内容や方向性がぶれないためにも大きなビジョンが必要です。社会福祉法人 悠久会では今後も、YDGsやSDGsのビジョンに基づく活動や情報発信を継続して行っていきます。

  • 「伝えなければ伝わらない」まずは認知されること、興味関心を持ってもらいます。
  • 有益な情報やソーシャルグッド(社会にいい)取り組みは積極的に発信します。
  • アクション(参画)やシェア(共感・共有)につなげるための工夫された情報発信を行いましょう。
    →ビジョンやストーリーが重要です。悠久会ではYDGs及びSDGsが該当します。
  • 最終的にはシェア→検索→行動・参画→シェア・・・の正の循環のループの流れをつくり、ムーブメントを加速させて、よりソーシャルグッドな社会を目指します。

目標10:シェアの文化を創出しよう

10_シェアの文化を創出しよう

あらゆる人々のスキルや資源を最大限に活用するために信頼に基づくシェアの文化を広げよう。

資源の共有化及び所有から利用へ

私達は多数の人的資源や物的資源を有しています。その重要な資源を法人内外でシェアする文化をつくり、資源価値を最大限に高めることで経済・社会・環境などのありとあらゆる課題の解決に貢献します。

シェアの文化を生み出すには信頼で結ばれたネットワークを広げ、お互いがお互いの顔の見える関係を作り、助け合いの心を持つこと、地域コミュニティの活性化や目的を共有し共に課題解決に取り組むことで自ずとシェアの文化の土壌が生まれることでしょう。

まずは私達が信頼関係を深める内部コミュニケーションの活発化により組織風土改革と意識変革を実現し、法人内にてシェアの文化を実現させます。そして、私達が持つ資源を可視化し情報発信と情報共有を行い、地域の方達と双方向コミュニケーションを活発化させることで信頼関係に基づくシェアリングシティの実現に貢献します。

-解説-

大量生産大量消費モデルからの脱却、限りある資源を大切に使うという考えが持続可能性及びSDGsを推進する上で重要です。

近年、シェアリングエコノミーの概念が生まれ、様々な資源(人的スキルも含む)をシェアすることにより「所有から利用」への方向性、資源効率化によるSDGsへの正の影響があります。

【シェアリングエコノミーの定義】
シェアリングエコノミーとは、個人等が保有する活用可能な資産等を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動である。ここで活用可能な資産等の中には、スキルや時間等の無形のものも含まれる。
(シェアリングエコノミーの5類型は空間・移動・モノ・スキル・お金です。)

総務省「平成29年版情報通信白書

さらにシェアリングエコノミーは副次的効果として人と人をつなぐ効果を生み、社会的孤立を防ぐ効果もあると言われています。サービスの提供主体が企業というよりも個人となることも多いことから、人とのつながりが生み出しやすく、例えば家事スキルシェアの「タスカジ」ではサービス提供者が「拡張家族」の一員と言われるほどの関係性を築く事例もあると紹介されています。
参考:ICR 「社会的孤立を防ぐシェアリングエコノミー -2021年シェアリングエコノミー調査報告 第4回-」2021年7月16日

社会福祉法人 悠久会においても共生社会の実現を目指すことと、SDGs及びYDGsの推進のために、あらゆる人達の心が通い合う社会を目指していますので、社会的分断を防ぐ効果が期待されるシェアリングエコノミーの推進・活用は事業戦略と合致しています。

悠久会においては、職員も福祉業界以外の異業種からの転職者も多数います。福祉事業は労働集約型産業ですので人的資源は豊富なのです。一人一人の個性やスキルを最大限に活用できたならば、素晴らしい価値を生み出せる可能性を秘めています。

物的資源面では生活施設等のハード面も充実しており、現在も地域の方々に要望に応じ地域交流スペースを開放しています。また、堅牢な構造の事業所を保有していますので災害発生時には避難所として地域住民の方達の受け入れを行う等の取り組みを行いました。しかし、まだまだ活用の用途はあると思います。

人口減少下の地域においてはインフラやハード面の整備に関して、最小限度の投資にしていかねば地域財政が持たないため、社会福祉法人が持つインフラをうまく活用にすることにより貢献が可能となります。

シェアリングエコノミーは信頼をベースとした経済とも言われています。信頼がない、すなわち不信はコストなのです。目標7「個々が輝く組織であろう」でも述べたとおり、信頼関係がないと組織においても協力関係が生まれず、非効率になったりパフォーマンスが最大限に発揮できません。さらに業務効率性も落ちますので人手(人的コスト)が余計に必要となりますしサービスの質も下がることでしょう。

まずは内部の信頼関係を深め、お互いの考えや相互理解が深まり協力しあえる関係が生まれることで組織として発揮できる機能が強化されたり幅が広がります。

悠久会が持つ様々な諸資源の可視化及び情報発信、活用が進むことにより法人外の地域の方達からも保有している社会資源を認知され、その結果、地域の方達との資源の共用により諸資源を最大限に活用でき、様々な地域課題の解決につなげることができるでしょう。社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の蓄積による社会的効用と共通点が多そうです。

【社会関係資本(ソーシャルキャピタル)】
人々の協調行動を活発にすることにより、社会の効率性を高めることができる「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会的仕組みの特徴。

アメリカの政治学者ロバート・パットナム

社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が豊かな地域社会ではボランティア活動が活発化しやすく、暮らしやすい豊かな社会の実現につながります。

信頼があると自発的な協力が生み出され、自発的な協力がまた信頼を育てます。社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が豊かな地域は、人々が互いに信用し自発的に協力します。

不信と疑心暗鬼があると協力関係を築くのに時間がかかりますので(十分に説明して納得してもらわなければならない)簡単には共感が得られない等の取引コストが増大します。共感を得ることの大事さは目標9「次を踏み出す共感をみんなへ」でも述べましたが、不信感があって話すら聞いてもらえない状態では手の打ちようがありませんし、その状況下では信頼関係を積み上げるまでに相当な時間と労力がかかります。

社会関係資本(ソーシャルキャピタル)とボランティア活動を始めとする市民活動の活性化には、相関関係や相乗効果(ポジティブ・フィードバック)がある可能性が指摘されています。

オープンなネットワーク、信頼に基づいたネットワーク(ソーシャルキャピタル)が拡大していくことにより、豊かな人間関係と市民活動の好循環が生まれ、地域で支え合う地域の課題を皆で協力して取り組む、あらゆる人々の心が通じ合う豊かな社会が実現できるのではないでしょうか。
参考:内閣府NPOホームページ「平成14年度 ソーシャル・キャピタル:豊かな人間関係と市民活動の好循環を求めて」2021年7月16日

  • 限りある資源を有効活用するシェアリングエコノミーはSDGsの推進に貢献します。
  • シェアリングエコノミーは人と人をつなぐので社会的分断を防ぐ効果が期待されます。
  • 悠久会でも、まずは内部で人材やソフト面・ハード面のシェアを進め、法人外でのシェアも活発化していければと思います。
  • オープンで信頼及びネットワークが拡大している社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が豊かなまちは、誰もが暮らしやすい心豊かなまちの実現につながります。

まとめ

今回はYDGsのミッションの1つ「ゆとりある心」についてお話をさせていただきました。人材や資源及び財源等に限りのある社会においては個人や一企業が独占するのではなく共有しあう(シェアリングエコノミーの推進)ことにより、効率化が進みSDGsの目標達成に貢献します。

また、共感のもとにシェア(心の面でも、資源の面でも)の関係性を構築するには工夫された情報発信、自己開示(オープン)することも大切だとも述べさせていただきました。

いがみ合い、お互いに不信感のある組織では、人材や資源を多く投入しても非効率なためパフォーマンスが向上しません。しかし、オープンな環境のもと信頼関係で結ばれ、お互い様の気持ちで協力しあう組織は不足する資源があっても融通しあったり、外部の組織ともシェアできる関係をつくることにより手持ちの資源が少なくても高いパフォーマンスを発揮することができます。

社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が豊かな地域はシェアの文化が根付きやすい省資源体質であると同時に、信頼関係で結ばれたオープンな風土でもあるので、異業種同士の協働によって新たなイノベーションも起こせる可能性も高いと思われます。その結果、地域の課題解決も進んでいくと期待できます。

  • ゆとりを生み出すには単純に資本の大小にとらわれるのではなく、ゆとりを生み出す土壌である「心」の充実が必要不可欠であると言えます。
  • 自己を開示し、他者の気持ちや立場を配慮し、信頼関係を構築することで共に協力できる組織風土を生み出しましょう。そして、組織外においても同様の考えのもとに地域の人達とパートナーシップを構築し、シェア文化の創出と社会関係資本(ソーシャルキャピタル)が豊かな地域を共に創りあげましょう。

Sustainable Debelopment Goals

悠久会は、持続可能な開発目標(SDGs)を推進しています。

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