ローカルスタートアップ&地方×複業で広がる新しい働き方とキャリアの可能性。大学生起業家のリアル体験談!|長崎・島原|

LOCAL STARTUP SHIMABARA! ~ないなら創ろう~ スタートアップがむすぶ「若者×地域×未来」

ローカルスタートアップ島原-イベント終了後の参加者集合写真

長崎県島原市の水脈mioにて

2025年8月1日 島原の水脈mioを会場に、スタートアップに挑戦する学生起業家の実践事例、長崎県のスタートアップ支援制度、スタートアップ企業でインターンを行う大学生の話、ローカルスタートアップの可能性、地方×複業・副業・兼業、プロボノ、関係人口などの地域活性化の新たなアプローチを探る「ローカルスタートアップ島原」を開催いたしました。

ローカルスタートアップ島原のイベント概要(開催日/会場/登壇者)

ローカルスタートアップセミナー島原のイベントバナー

「現役大学起業家が語る、学生起業という新しい選択肢」

ローカルスタートアップ島原-セミナーイベント概要

  • 開催日:2025年8月1日(金)
  • 会場 :水脈mio1(島原市万町503-5)
  • 形式 :第1部:オンライン・現地/第2部:現地のみ
  • 主催 :社会福祉法人 悠久会
  • 後援 :十八親和銀行 地域振興部
  • 登壇者:鈴村 萌芽(株式会社musbun 代表取締役CEO)/長崎県 新産業推進課/遠藤 仁菜 (日本福祉大学 学生・musbunインターン)/永代 秀顕(社会福祉法人悠久会 理事長)

ローカルスタートアップ島原-イベントプログラム

<第1部:オンライン/現地>

  • 18:00-18:05 オープニング・趣旨説明
  • 18:05-18:15 長崎県のスタートアップ支援について(長崎県 新産業推進課)
  • 18:15-18:40 地方で創る、新しい仕事と働き方(永代秀顕 氏)
  • 18:40-18:55 学生起業のリアル(鈴村萌芽 氏)
  • 18:55-19:05 スタートアップインターン体験談(遠藤仁菜 氏)

<第2部:現地開催のみ>

  • 19:15-19:40 クロストーク&質疑応答
  • 19:40-20:00 グループワーク
  • 20:00-20:20 グループワーク発表
  • 20:30-22:00 交流会&名刺交換会(希望者)

なぜ、今、地方でローカルスタートアップや起業、複業に注目すべきなのか?

ローカルスタートアップとは?

ローカルスタートアップ2とは、地域に根ざした人材・資源・資金を最大限に活用しながら地域の課題解決に取り組む起業活動などであり、地域内での経済循環を生み出すことで持続可能な地域力の向上を実現する、地方創生の重要戦略です。

社会福祉法人悠久会が「ローカルスタートアップ島原」のイベントを開催した理由

悠久会がローカルスタートアップのトークイベントを島原で開催した背景には、法人の事業コンセプトに掲げる「福祉×まちづくり×SDGs」を通じた福祉課題と地域課題の同時解決による地域活性化、島原半島の未開拓なポテンシャルへ着目がありました。

長崎県島原市を含む地方都市では、若年世代の都市部流出による人口減少が地域経済の衰退、地域の活力低下の一因となっています。しかし、島原半島には食・観光・自然・文化などの豊かな地域資源(ローカルコンテンツ)が存在しており、これらを事業素材としてスタートアップ手法を活用することにより、地域の課題解決につながるのではないかという仮説が生まれました。

他地域のスタートアップ拠点を視察してあらためて実感したのは、島原では経済人ですら「スタートアップ」「起業」というテーマを話題に出すことが少なく、まずはスタートアップを学ぶ場作りから始める必要性を感じました。

さらに人材不足の課題は、地方だけでなく都市部でも深刻化しており、複雑化・高度化する事業課題に対応できる人材が不足しています。コロナ禍を経て、「働く場所=通勤圏」という前提条件が崩れ、オンラインで地方と関わる働き方や、都市部の企業に勤めながら地方に在住するという選択肢も生まれました。2018年にモデル就業規則改正(いわゆる「副業解禁」)3も追い風になり、複業・副業・兼業・プロボノといった多様な働き方も実現可能となっています。関係人口として、地方自治体のプロジェクトへ参画したり、越境学習の場として地方と都市部の垣根を越えた「都市か地方か」という二者択一ではなく、「都市も地方も」という新しい関係性を構築することが可能になりました。

このイベントでは「ないものを嘆く、ないものをうらやましがる」のではなく、「ないなら創ろう」との地方の新しいビジョンを提言させていただきました。「若者×地域×未来」の未来志向のもと、参加者の意欲を、学びから具体的な行動や連携・パートナーシップ構築へと発展させ、島原半島でのローカルスタートアップエコシステムの構築を目指しています。長崎県内各地でローカルスタートアップに取り組む人達との連携を通じて、長崎全体の活性化につなげたいと考えています。地方から夢や希望あふれる未来を創造する「初めの一歩」となることを願い、本イベントを企画・開催いたしました。

「知識ゼロからでもスタートアップはできる」musbun 鈴村萌芽氏が語る学生起業のリアル

株式会社musbun 代表取締役CEO 鈴村萌芽氏プロフィール

【登壇者プロフィール】

株式会社musbun CEO鈴村萌芽
  • 登壇者氏名:鈴村 萌芽(すずむら もえみ)
  • 会社名:株式会社musbun4
  • 役職:代表取締役CEO
  • 本社所在地:愛知県名古屋市(STATION Ai)
  • 主要プロダクト:キャリシー(学生向け採用・キャリア支援)/musbun(福祉ボランティア・マッチング)
  • 経歴及び事業概要:2021年、大学在学中に福祉人材不足という社会課題の解決を目指して株式会社musbunを設立。愛知県名古屋市のスタートアップ拠点STATION Aiにて、学生と企業を結ぶマッチングサービス「キャリシー」を展開中。同サービスの特徴は、学生の興味軸に基づき「ものづくり」「食」「IT」「福祉」等と多様な業界をカバーし学生のキャリア選択の幅を広げている。創業時のプロダクトであるボランティアマッチングアプリ「musbun」では、福祉体験を通じて福祉業界に興味関心を持つ学生の増加を目指している。

学生起業のリアル ~ポンコツ鈴村が会社をつくったお話~

株式会社musbun CEO 鈴村萌芽

株式会社musbun代表取締役CEOの鈴村萌芽氏による講演は「ポンコツでも会社をつくれた」というユーモアあふれるタイトルで行われました。知識ゼロ・仲間ゼロ・お金ゼロでも工夫次第で起業し、事業を継続できた実例を、学生起業を目指す人にもわかりやすく紹介。「学生だからこそできた」という等身大の起業体験談を語る内容でした。

シェアオフィスの一角から生まれた学生目線のスタートアップ

鈴村さんが代表を務める株式会社musbunは、名古屋市を拠点として2021年にスタートしました。現在オープンイノベーション拠点の「STATION Ai5」にオフィスを構えるmusbunでしたが、創業当初は、愛知県の創業支援制度6を活用し、WeWork名古屋(PRE-STATION Ai7)を拠点に活動していました。

現役大学生で起業した鈴村さんは、愛知県のスタートアップ支援環境を積極的に活用し、同じく学生インターンたちと共に試行錯誤を重ねながら創業期を駆け抜けました。「学生だからこそ見えるニーズがある」との信念で、同世代の視点をプロダクト構想に反映していきました。

株式会社musbunが目指していること ~学生・企業・行政をむすぶ“共創のハブ”を目指す~

musbunが解決したい社会課題。それは悠久会のような福祉サービスを提供する社会福祉法人や地域の中小企業が共通して抱える人手不足を解決することです。単純に、人を右から左に動かす人材マッチングではなく、学生・企業・行政の三者、それぞれにとって価値をもたらす「共創モデル」の構築を目指しています。

  • 学生にとって:社会とのリアルな接点を提供し、座学では学べない実践の場を提供。
  • 企業にとって:若者の声を活かすことで、新しい視点やアイデアを取り入れる機会。
  • 行政にとって:地域に若者の力を呼び込み、持続可能な地域活性化を実現する仕組み。

人をむすぶ、共創が生み出す社会課題解決アプローチ

従来の人材紹介や就職支援とは一線を画すmusbun流の課題解決アプローチ。それは、学生・企業・行政のパートナーシップで協働して取り組む「共創」の仕組みづくりです。この三者が連携することにより地域活性と地方の人材不足という社会課題への解決策を目指すのです。

特に注目すべきは、学生を労働力や教え導く存在としてではなく、企業や地域の「課題解決に共に取り組むパートナー」として位置づけている点です。若い世代の柔軟な発想力と行動力を事業運営や地域活性化に活用し、従来の固定観念に縛られない解決法の創出に価値を見いだしています。

課題を解決するためのプロダクト 「キャリシー」と「musbun」

キャリシー サービス紹介イメージ図

地域活性と地方の人材不足の社会課題をスタートアップのプロダクトで解決するため、鈴村氏は、学生の興味軸で就職先やインターン先を探すことができる「キャリシー8と悠久会のような福祉事業所とボランティアや社会貢献に興味がある学生をマッチングさせる「musbun9の2つのアプリサービスを提供開始しました。

特にキャリシーでは産官学連携プロジェクトを促進するべく、企業・行政・大学と連携したプロジェクトやインターンシップ企画を多数取り扱っています。実際に、悠久会においてもキャリシー上で「福祉とまちづくり」を体感できるインターンシップのプログラムや求人を掲載させていただいております。

金城学院大学×musbun×悠久会「ふくしCAMP」の事例

福祉CAMP

musbunが取り組む産学連携プロジェクトの事例として、2024年3月11日~13日に、金城学院大学10の橋川健祐准教授との共同企画による「ふくしCAMP」(オープンカンパニー)を社会福祉法人悠久会にて開催しました。島原を舞台に、学生が福祉とまちづくりを実践的に学ぶ2泊3日のプログラムです。

ふくしCAMPのプログラム内容について

「地域にひらかれた福祉」をテーマに、コミュニティ福祉学科をはじめ環境デザイン学科、国際情報学科など幅広い分野の大学生5名が参加しました。福祉施設見学、利用者との交流、地域フィールドワークに取り組みました。最終日の企画発表では「まち全体を家族のような関係性に」「作業終了後の福祉事業所を活用した地域交流促進」などの福祉体験や交流できる機会を設けることで、市民が福祉との関わりを継続的かつ気軽に持てる仕組みづくりを目指したものです。学生ならではの視点から生まれた課題解決策と言えるでしょう。

(※悠久会のインターンに興味のある方へ。「福祉×まちづくり×SDGs」の現場を体感できるインターン申し込みはこちらから「インターンシップ参加者募集ページ」より)

ダメダメ大学生活から起業家を目指すまで

意外性のある起業前の大学生活

学生で起業するほどのエネルギーとアグレッシブさを発揮する鈴村さん。さぞかし、大学生活は意識も高く、優秀な成績を収めていたかというと、そうでもなく、イマイチ勉学にも打ち込めない、やりたいことも特にないという怠惰な日々を送っていたそうです。

人生を変えた越境先での運命の出会い

何か面白いことはないかと、島根の越境免許合宿に参加したそう。そこで知り合った友人との出会いが大きく人生を変えることになりました。「その人は元々起業していたわけではありませんでしたが、自分のやりたいことに向かって全国を飛び回り、すごくチャレンジしている人でした」この出会いに刺激を受けて、愛知に戻ってから様々なインターン、バイト、ボランティアにチャレンジするようになりました。このようにチャレンジするなかで、様々な人と出会い、自分の将来のキャリアを考えるようになったそうです。

原点回帰 ~大好きなおじいちゃん、おばあちゃんへの恩返し~

何をしようかと真剣に考えるようになった時に、ふと湧き上がった「おじいちゃん、おばあちゃんや近所の高齢者の方に恩返ししたい」という想い。自分ができることは何かを見つけるために、福祉のボランティア活動に参加してみたそう。

福祉との出会いが生んだ1つの仮説

当初、自身のキャリアプランには「福祉」という選択肢はなかったそうです。しかし、ボランティア活動への参加を通じて、福祉の仕事のやりがいに気づくと一方で、福祉業界の人手不足という深刻な課題も見えてきました。福祉の魅力が適切に伝わっていないことが人手不足の根本原因との仮説が生まれ、これが後のmusbun創業につながっていきます。

起業への決意からプロダクトの考案まで

起業のきっかけとなったビジネスコンテスト

当初、起業を考えていなかったため、「多くの人が福祉を知るきっかけを何か作りたい」と漠然と考えていた時に、友人に誘われてビジネスコンテストを見学することになりました。

「そこで様々な企業が社会問題をビジネスで解決しているということにすごく感動し、もしかしたら自分も福祉の問題をビジネスで解決できる可能性があるかもしれない」と感じた瞬間が起業というキャリアを選択肢にした原点でした。

仕組み作り ~失敗と試行錯誤~

ビジネスコンテストから福祉に関わる人が増える仕組みを作っていきたいと考えた鈴村さん。「まず自分ができることからやっていこう」と考え、最初に企画したのが高齢者向けのスマホ教室でした。しかし、自信満々で開催したイベントが、まさかの結果に・・・
なんと参加者は1人(しかも、自分のおばあちゃんのみ)という結果に終わったのです。

「勝手な想像だけで、高齢者の人はスマホを使いたいけど使えない人がいて困っているはず、だからスマホ教室をしたら来てくれるのではないかという妄想だけでイベント企画をしてしまった」と振り返る鈴村さん。ニーズの調査不足、ターゲットの設定の曖昧さ、甘い集客計画など、起業における基本的な課題が浮き彫りになりました。

失敗から学んだユーザーヒアリングの価値

「実際に企画したからこそ様々な気づきを得ることができた」と前向きに語る鈴村さん。この失敗からヒアリングとユーザーの声を聞く大切さを実感します。その教訓を活かし、大学生や福祉事業者へのヒアリングを実施したところ、「ボランティアしたいがきっかけがない」「誰かの役に立ちたいが動けない」という学生と、「学生とつながりたいが方法がない」「福祉の魅力をもっと伝えたい」という福祉関係者が多いことを発見しました。

musbunアプリのプロダクト構想 ~人と人をむすぶプラットフォーム~

学生と福祉事業者。双方にニーズがあるにも関わらず、つながる機会がない。この課題解決のためのソリューションとして”気軽に福祉体験に参加できるボランティアマッチングアプリ「musbun」”を考案しました。

musbunアプリ

知識ゼロ・仲間ゼロ・お金ゼロから始めた学生起業の現実—500名へのユーザーヒアリングとチャットツールでの実証実験の舞台裏

ないない尽くしのスタートアップ。まずは無料でできることから

プロダクトの構想は固まったものの「アプリを開発する知識も、仲間も、お金もゼロという、ないない尽くしのスタートでした。」振り返る鈴村さん。しかし、「ない」からといって諦めるのではなく、お金がなくてもできることに着目。福祉関係者500名へのユーザーヒアリングを行い、リアルなニーズを把握することから始めました。

スタートアップのピッチコンテストへの挑戦

スタートアップ関係のピッチコンテストにも積極的に参加しました。最初は入賞することができませんでしたが、審査員の方からのアドバイスや、起業家向けの勉強会に参加を重ねるうちにコンテストに入賞することもできるようになりました。行動を起こしたことで少しずつレベルアップを実感できるようになり、継続の原動力となったのです。

スタートアップの仲間集めの苦労と工夫

「スタートの1年間は仲間もおらず、ずっと一人で頑張ってきました」と語る鈴村さん。仲間集めは学生起業の苦労のひとつでした。しかし、大学の授業で話す機会をもらったり、その授業を聞いてくれた学生がメンバーになってくれたり、企画した学生向けのイベント参加者がメンバーに加わってくれたりと、徐々に仲間が増えてきました。

SNSもスタートした時点ではフォロワー数も少ない弱小アカウントでしたが、積極的な情報発信で思いを伝え続けてきました。その結果、共感してくれる人が生まれ、フォロワー数の増加や仲間との出会いにもつながりました。

起業のリスクを減らすための実証実験と初期事業資金の確保

アプリ開発には学生起業家からすると多額の資金が必要です。いきなり開発を始めるのではなく、まずは無料で使えるチャットツールなどを活用して実証実験を行い、ニーズを確認することにしました。ツール上でボランティア情報を流したところ、たくさんのボランティアのマッチングが実現しました。アプリを作った際のユーザー確保の実現可能性ができたので、アプリ開発に踏み込む決断ができました。無料ツールでのPMF(プロダクト・マーケット・フィット)確認というスタートアップの手法を学生ながらも実践したのです。

また、愛知県などの行政がスタートアップを応援する補助金を出してくれましたので、それを初期の事業資金にあてました。

まとめ 「学生だからこそできた」学生起業実現から実感する3つのメリット 創意工夫で切りひらく小さな一歩

学生起業の知られざる3つのメリット

学生起業家というと「学生なのにすごいね」と言われがちですが、鈴村さんは「学生だからできた」との持論を語ります。
実は学生起業は・・・

  • リスクが少ない
  • 知らないからこそ動けた
  • 教えてもらいやすい

学生だからこそ恐れを知らず、前向きに動くことができたし、もし、色々な知識があれば失敗のリスクを恐れチャレンジできなかったかもしれない・・・そして、失敗しても大学に戻り、普通に就職を目指すことが可能です。また、学生という身分だからこそ、大人の人から教えてもらいやすく、助けてもらいやすいという特権があります。これらは学生ならではの優位な点だと感じました。

起業の動機 ~社会課題解決への想いこそが原動力~

一方で「学生での起業はビジネス経験もないので実際、大変なことや難しいことも多いです。」と学生起業の難しさについても率直に語ってくれました。「起業をしたいという気持ちも大事ですが、起業してどんな社会を実現したいか、どんな社会課題を解決したいかを考えた上で起業するのが大事」と強調します。「自分がやりたい事業だからこそ困難があっても乗り越えられる」という言葉は起業実践者だからこそ語れるものでしょう。

参加者へのエール ~まずは小さな一歩から始めよう~

講演の締めくくりとして「いきなり起業は難しいけれど、何か挑戦したいなと思った方がいたら、様々な方法があると思いますので、まず自分にできる一歩を踏み出していただけたら嬉しい」と述べました。そして「皆さんと一緒にたくさん挑戦していけたら嬉しいです」という言葉で講演を締めくくった鈴村さんの等身大の起業体験談は、起業を夢見る若者や学生にとって響いたことでしょう。

知識ゼロ、仲間ゼロ、お金ゼロから立ち上げた起業ストーリーは、まさに今回のセミナーテーマ「ないなら創ろう」を体現するものでした。足りないもの(ゼロ)を嘆くのではなく、今できること、持っている手札から、創意工夫と行動力によって道を切りひらく、その実践例として、参加者の心に響いたことでしょう。

井の中から大海へ—福祉を学ぶ大学生が体感したスタートアップインターンのリアル 日本福祉大学 学生 遠藤 仁菜氏

【登壇者プロフィール】

遠藤仁菜氏 プロフィール写真
  • 登壇者氏名:遠藤 仁菜(えんどう にいな)
  • 所属:日本福祉大学福祉経営学部医療 福祉マネジメント学科(3年生)
  • インターン先:株式会社musbun
  • 出身:愛知県
  • 経歴:福祉の魅力に魅了され、福祉業界へのキャリア選択を決意。現在は知的障がい者入所施設でアルバイトを行いながら、スタートアップでのインターン体験中。

「何だか楽しそうかも?」軽い気持ちから始まったスタートアップインターン

遠藤仁菜 日本福祉大学福祉経営学部医療 福祉マネジメント学科

現在、日本福祉大学で福祉を学びながら学生インターンとして活動している遠藤氏による講演は、大学生目線からのスタートアップインターンを語る内容でした。将来のキャリアを模索する時期に実際にスタートアップ企業で働く中で経験した学びや変化について、同世代の学生にとって共感あふれる等身大の体験談として語られました。

大学のまちおこしサークルからスタートアップインターンへ。musbun鈴村氏との運命的な出会い

musbunのインターンに参画前、遠藤さんは、まちおこしのイベントを企画するサークルや、ボランティア活動などに参加していました。転機となったのは、とある交流イベントで出会った鈴村さんとの出会い。お話しているうちにスタートアップの世界に対して「ドキドキ感やワクワク感」を感じるようになります。鈴村さんからも誘われ「何か楽しそうかも」とインターンにチャレンジすることになりました。

大学生の遠藤さんがスタートアップでのインターンを決めた3つの理由

未知のスタートアップの世界へと挑戦を決めた遠藤さん。その理由は、将来への漠然とした不安と、自分自身の可能性を確かめたい強い想いからでした。

1.自分の意見に妥当性はあるのか?

講演会や交流会に参加することで、様々な人と意見交換を行い、多様な視点を身につけてきたつもりでした。しかし、同時に疑問が生まれます。「自分の考えや意見は社会に通用するのか、説得力はあるのか?」その妥当性を学生の世界を超えた、社会というビジネス現場で確認したくなったと強い動機がありました。

2.サークルで磨いた自分のスキルを確かめてみたい。

まちおこしサークル活動の中で磨いた企画スキル。遠藤さんは「このスキルがビジネス現場でどこまで通用するのかを知りたい」と考えるようになりました。学生団体のサークル活動では成果を生んだスキルが、ビジネスの世界でも価値を発揮することができるのか。その可能性を探りたいと考えました。

3.将来のキャリアの幅を広げるための下積み経験を手に入れる

「何かを成し遂げたい」という、くすぶった気持ちはあるものの「明確に何をしたいという目標が見えてこない」と当時を振り返る遠藤さん。将来、起業という選択肢を考えた時、または目標が明確になった時に実現できるスキルやノウハウを今のうちに身につけておきたい。そんな前向きな準備意識がスタートアップインターンへの挑戦を後押ししました。

インターンで取り組んでいる担当業務の内容

遠藤さんがmusbunのインターンで行っている役割は「学生だからこそできる」学生の強みを最大限に発揮する役割ばかりです。

musbunでの業務
1.学校の授業のサポート ~同世代だからこそできる橋渡し役~

「大学の授業でグループワークがなかなか盛り上がらない時ってありますよね」と語る遠藤さん。グループワークの進行が止まってしまうような場面で、助言や質問を投げかけて議論を活性化させるファシリテーター役を行います。同じ学生という立場だからこそ、先生とは違った距離感でサポートできるのが強みなのです。

2.企業とのインターンシップ設計 ~学生目線で「刺さる」企画を考える~

「この企画、学生目線から見るとこう感じます」企業と一緒に学生向けのインターンシップ企画を考える業務では、遠藤さんの学生ならではの視点が新たな気づきにつながります。どんな体験なら学生が「面白そう!」と感じるか、興味関心を持ってもらえるか。企業側では気づきにくい学生のニーズを企画に反映させる、まさに企業と学生をつなぐ橋渡し役なのです。

3.イベントの企画 「一歩踏み出したい」学生の背中を押す場作り

「何かチャレンジしたいけど、きっかけがない」自身も同じ経験があることから、同世代の学生の気持ちを深く理解している遠藤さん。遠藤さんが手がけるのは、学生が気軽に参加できるイベントの企画・提案です。「同じ学生だから、どんな場があれば一歩踏み出しやすいのか。参加ハードルを下げることができるのかが分かる」という同世代目線を活かした企画・提案は、参加者にとって「参加してみたい」と思える魅力的なイベントを実現しています。

「3:7の現実」を乗り越えて—スタートアップインターンで見えた成長の手応え

厳しくも価値のあるビジネス現場での気づき

実際にスタートアップの現場に足を踏み入れた遠藤さんの実体験によると「自分の提案に対する反応が『3:7』の割合」-つまり、10の提案のうち、うまくいくのは3つ程度という厳しい現実でした。

「学生だから」を武器に変える発想の転換

しかし、この現実を遠藤さんはポジティブに捉えています。「〜井の中の蛙大海を知らず~ 同世代の世界は井戸の中。今は大海への一歩を踏み出した状態で、社会との価値観のすり合わせがとても楽しい」と感じています。

「学生という立場だからこそ失敗を恐れずに意見が言える」—この「学生だから」という特権を最大限に活かし、失敗や厳しい現実を貴重な学びの機会として日々成長を目指しています。

スタートアップインターンで得られた成長

このように学生の世界から、厳しいビジネスの世界と立ち向かう遠藤さん。その挑戦から得られた具体的な成長について語ります。

1.相手に「伝わる」ビジネスコミュニケーション力の向上

「自分の意見が的を得ているかを知るには、まず相手に正確に伝えることが大切」と語る遠藤さん。ビジネス現場では学生同士とは異なる明確さや論理性が求められるため、「頑張って伝えようとする」うちに、自然とわかりやすく伝える力が身につくと実感しています。

2.学生では出会えない多様な世界 ~新たな視点を身につける~

インターンを通じて「今まで見たことのない世界と出会うことができ、視野が広がった」と語る遠藤さん。多様な背景を持つ人達と交流することで、学生の世界だけでは得られない新たな視点と広い視野を獲得することができたそうです。

3.多くの挑戦から得られた「圧倒的な成長」

スタートアップの最大の魅力は、明確な役割分担がないこと。「様々なことにチャレンジできる環境」で、定型業務をこなすだけでなく、自分から積極的に新しいことに取り組めるので、スキルや経験の幅が大きく広がっていきます。

同世代へ送るエール—「失敗したって大丈夫」こんな学生にこそスタートアップインターンがおすすめ

講演の最後に、遠藤さんは同世代の学生に向けたメッセージを送りました。特に下記の3タイプの学生には、ぜひスタートアップインターンにチャレンジしてほしいと語りました。

1.「やりたいことがぼんやり」している人こそチャンス

明確な目標がなくても「何かにチャレンジしたい」という想いがあれば十分だと語る遠藤さん。「私自身も、やりたいことが明確ではないなかで、インターンに飛び込みました」と振り返る通り、実際に行動することで新しい発見や方向性が見えてくるのです。

2.起業に興味はあるけど「何から始めたらいいのか分からない」人

「起業」という選択肢に興味関心はあるものの、具体的なステップが見えてこない学生には、スタートアップインターンにチャレンジすることが近道であると思います。教科書的な知識だけではなく、実際のスタートアップの世界を体験することで、起業に必要な知識やスキルを自然と身につけることができるでしょう。

3.自分の意見をしっかり持っている人

自分なりの考えや持論を持っている学生には、実際にビジネス現場で試す環境としてスタートアップインターンが最適ではないでしょうか。大学で学んだ知識や論理的思考力を、より実践的な場で試せる可能性があります。

まとめ 失敗を恐れない ~学生の特権を最大限に活用しよう~

「失敗したって大丈夫です。学生である今が失敗できるチャンスだと思います」—遠藤さんが本講演で最も伝えたかったメッセージです。学生という立場だからこそ許される失敗があり、その失敗から得られる学びは計り知れません。社会人になってからでは難しい大胆な挑戦や率直な意見表明ができる学生時代だからこそ、積極的にチャレンジしてほしいと力強く呼びかけました。

等身大のスタートアップインターン体験談が生む共感と挑戦への動機付け

遠藤さんの講演は、同世代の学生目線から語られたリアルな体験談が印象的でした。「3:7の現実」というビジネス世界のリアルな現実、失敗も成功も含めた率直な振り返り。理想通りに物事は進まないという等身大のストーリーが、多くの学生に「自分もチャレンジしてみたい」という動機を与えたことでしょう。

スタートアップインターンに興味のある学生にとって、遠藤さんの体験談は学生時代のキャリア形成の参考として価値のある内容だったと思います。「何となく面白そう」から始まった挑戦が、成長と学びを生む—そのストーリーを体感できる有意義な講演でした。

長崎県におけるスタートアップ支援 ~長崎県 新産業推進課~

長崎県新産業推進課

~県内60社のスタートアップと起業家支援拠点CO-DEJIMAを中心とするスタートアップ支援の全体像~

長崎県新産業推進課長の原田氏による開会挨拶で語られたのは、長崎県の本格的なスタートアップ支援戦略。「長崎市だけでなく県内各地でスタートアップが生まれる仕組みづくりを目指している」と、今年度から各地域でスタートアップセミナーを開催する新たな取り組みの予定があることを説明されました。

一方で、今回のような悠久会主催の自主的な取り組みについても、島原での貴重な講演機会への感謝を表明するとともに、地域からの自発的なスタートアップ機運の高まりに対する期待を示されました。続いて、同課でスタートアップ推進を担当する本田氏が、長崎県の具体的なスタートアップ支援体制について詳細を説明しました。

「スタートアップカオスマップ」で見える長崎県の取り組み—60社のスタートアップと120のクリエイティブコミュニティ

CO-DEJIMAを起点とした県内スタートアップの現状把握

本田氏が最初に紹介したのは、長崎県が設置するスタートアップ交流拠点「CO-DEJIMA11のロゴマークでした。続いて紹介されたのが、長崎県内のスタートアップ状況を整理した「長崎スタートアップカオスマップ202412です。

長崚スタートアップカオスマップ2024 - 県内88のスタートアップ企業と支援機関を7つのカテゴリーで可視化

「長崎スタートアップカオスマップ」で分類された7つのカテゴリー

  • スタートアップ: 県内に本店がある企業を広義に捉えて掲載
  • 専門機関: 起業相談や専門知識を提供する機関
  • 投資: 長崎エリアで出資を行うベンチャーキャピタルや企業
  • イノベーション: 特異的な形でイノベーションを起こす組織
  • オープンイノベーション: 複数事業者による共同プロジェクト
  • イベント: ピッチイベントやトークセッション
  • ワークスペース: コワーキングやシェアオフィス等の作業環境

「スタートアップの成長には企業単独の努力だけでなく、様々な場やつながり、資金調達など多くの人との関わりが重要」と説明する本田氏。長崎県では、このような多面的支援要素を整理・体系化する取り組みを進めています。その成果の一つが、複雑な支援体制をわかりやすく整理した「長崎スタートアップカオスマップ」であり、さらに位置情報と連動した「出島っぷ(DEJIMAP)13では、県内のスタートアップ企業や支援機関だけではなくクリエイティブな活動や場所、コミュニティ情報なども地図上で確認することができます。

数字で見る、長崎県スタートアップエコシステムの規模

  • 長崎県内スタートアップ数:約60社
  • 出島っぷ(DEJIMAP)掲載箇所:120箇所

「創出から成長まで」一貫支援—長崎県の描くスタートアップの支援の全体像

長崎県のスタートアップの現状認識と課題への対応

長崎県としては「スタートアップの創出数が東京などの都市部と比較して少なく、創業後の規模拡大も十分でない」という現状課題を分析した上で、その課題を解決するための県が取り組むべきスタートアップ支援の方向性を提示しました。

長崎県が描くスタートアップ支援の目指す姿

県が目指す理想像は「長崎県がスタートアップの場として認知され、新たなビジネスが次々と生まれる」です。この理想を実現するために県では、長崎でチャレンジしたいと思える環境づくりによるスタートアップの創出・増加と、投資家からの資金調達による規模拡大を支援し急成長するスタートアップの増加を両輪として取り組んでいます。

2段階の支援パッケージ—スタートアップ創出期と成長期のサポート

長崎県では、スタートアップの成長段階に応じて支援メニューをそれぞれ用意しています。

1.創出・呼び込み段階
  • CO-DEJIMA交流拠点を中心とした産学官連携推進、県内コミュニティの交流促進
  • 専門家からスタートアップの実践的知識を学ぶアクセラレーションプログラム
  • 県内各地でのセミナー開催(10月開催予定の島原セミナーもその一つ)
2.成長支援段階
  • 年1回の投資家とスタートアップ企業のマッチングイベント「ミライ企業Nagasaki」開催
  • 九州全域での連携したスタートアップ支援(資金調達・販路開拓)
  • 首都圏の大企業との取引拡大支援(2025年度新規開始)

起業に向けたアイデア構想段階から成長-規模拡大フェーズまで、発展段階に応じた切れ目のないサポート体制が整えられつつあります。

最優秀300万円の起業支援コンテスト「ミライ企業Nagasaki」

ミライ企業Nagasaki

長崎県では年1回、起業支援コンテスト「ミライ企業Nagasaki14を開催しています。このコンテストは参加者の事業進捗状況に合わせて2つの部門で構成されています。スタートアップ部門では既に事業を開始している企業を対象に投資家とのマッチング支援を、チャレンジ部門ではアイデア構想段階の起業志望者などを対象とした事業化支援を行っています。特に注目すべきは、チャレンジ部門の賞金制度です。最優秀賞には300万円、優秀賞には100万円が贈られ、受賞者は実際の事業立ち上げ資金として活用することができます。アイデアを具体的に事業化するための実践的な資金サポートが提供されています。

地域の課題を技術で解決する「ミライ企業Nagasaki」の受賞企業たち

これまでの受賞企業には、地域課題を最新技術で解決するというアプローチが見られます。AI解析技術を活用した水道管の漏水検知事業や、放置竹林という地域の課題を逆手に取り、竹を原料とする農薬開発など、技術革新と地域課題解決を両立させる事業が高く評価されたとのことです。

長崎県内各地への取り組み拡大—島原でのスタートアップ創出・育成ワークショップの開催予告

講演の最後に発表されたのは、2025年度の新たな取り組みとして県内9地区でスタートアップ創出・育成ワークショップを開催15するという計画でした。既に佐世保市と西海市での開催が決まっており、私たちの島原では2025年10月10日(金)に島原文化会館での開催が予定されているとのことです。

まとめ:長崎県の取り組みと、島原からも始められる新しいチャレンジ-ローカルスタートアップの可能性

今回のセミナーを通じて感じたのは、長崎県のスタートアップ支援が単なる掛け声ではなく、具体的な仕組みと支援実績を伴った本格的な取り組みだということです。CO-DEJIMAを中心とした支援体制や最大300万円の賞金を用意したコンテストなど、長崎県全体でイノベーションを起こそうとする姿勢が随所に感じられました。

また、10月の島原開催予定のスタートアップ創出・育成ワークショップのように、これまで長崎市中心だった取り組みが島原でも行われます。この変化は、島原に住む若い世代にとって大きな転換点になるかもしれません。

「ミライ企業Nagasaki」の受賞事例からも、地方が抱える社会課題は新しいビジネスチャンスの宝庫であるかもしれません。島原のような地域でも、身近な困りごとに技術やアイデアを組み合わせることで、ローカルスタートアップが生まれる可能性を感じます。大都市圏に出なくても地元でスタートアップが生まれるかもしれない、そう考えるとワクワクしてきますね。

地方×複業で広がる新しいキャリアの選択肢、島原発のローカルスタートアップの可能性 ~社会福祉法人悠久会 理事長 永代 秀顕~

【登壇者プロフィール】

  • 登壇者氏名:永代 秀顕(ながよ ひであき)
  • 所属:社会福祉法人 悠久会
  • 役職:理事長
  • 概要:社会福祉法人悠久会の理事長として「福祉×SDGs×まちづくり」に取り組む。地域密着の福祉事業を展開しつつ、障がい者アートイベント、焚き火イベント、地産地消のおむすびカフェ、宿泊事業、ローカルSDGsの推進など多彩な「福祉×まちづくり事業」をプロデュース。今回のイベント「LOCAL STARTUP SHIMABARA!」の主催者。(本イベントレポート記事も自ら執筆)

はじめに ~地域に根ざした新しいキャリアの作り方~

社会福祉法人悠久会理事長  永代秀顕氏

私(永代 秀顕・悠久会理事長)からは、地域活性化事業の実践を通じて見えてきた地方での新しいビジネスの可能性と、近年、多様化する働き方についてお話しました。

若い世代のキャリア形成において複業・副業・兼業・プロボノといった新しい働き方や、地域で起業するローカルスタートアップがキャリアの選択肢として可能性があることを皆さんにお伝えしたいと思います。

働き方の選択肢、キャリアの多様化が広がる現代では、自律的なキャリアデザインが重要です。実際、多くの学生インターンや若手職員が、「将来のキャリアをどう描けばいいのか分からない」との悩みを抱えています。昔のように「良い大学を出て、大企業で定年まで働く」との従来型のキャリアモデルが崩れ、自分らしい働き方を見つけることが難しくなっています。
関連記事介護職・福祉職のキャリアについて ~キャリアデザインやキャリアについて考える~」※福祉職向けの記事ですが、一般的なキャリアの考え方から丁寧に解説しているので、どんな分野の方にも参考になると思います。)

「六方よし」を実現する福祉×地域ビジネス 

社会福祉法人悠久会では「福祉×まちづくり×SDGs」をコンセプトに様々な地域活性事業を行っています。その象徴的な取り組みが、地産地消をコンセプトにした「おむすびカフェ島原むすびす」です。

このカフェが目指すのは、従来の「三方よし」を進化させた「六方よし」の実現です。島原むすびすの商品が売れることで、利用者の就労支援、地元食材の消費促進、地域経済の活性化が同時に実現される仕組みを構築しています。地域経済循環率の向上を通じて、お金が地域内で回る持続可能な地域経済活性モデルを実現しているのです。

六方よしとは? 三方よし「売り手」「買い手」「世間」に加え 「作り手」「地球」「未来」を加えています

島原半島エリアを越えて全国からも注目される地域ブランド

このコンセプトに基づく商品は外部からも高い評価を受けています。「第15回 JR九州駅弁グランプリ16では火山弁当が特別審査員賞を受賞したのをはじめ、NHK国際放送の「EKIBEN JAPAN」では、火山弁当シリーズのジオむすび弁当が取材・放映17されました。さらに島原鉄道の観光列車「しまてつカフェトレイン18のメニューにも採用されるなど、就労支援事業から生まれた商品が地域活性化と観光振興の両面で成果を上げています。これは福祉分野の就労支援事業の取り組みが地域ブランディング向上に貢献する好事例といえるでしょう。

JR九州駅弁グランプリ

多様な起業のカタチ ~スモールビジネスからスタートアップまで~ 急成長を目指さなくても、地方で持続可能なビジネスはつくれる

学生起業の世界と、社会人になってからの起業 ~タイミングに正解はない~

本日のイベントでは、メイン登壇者として学生起業家の鈴村さんをお招きし、学生起業のキャリアの可能性についてお話いただきます。若い世代が活躍する夢のある話を通じて、新しい世界の可能性を感じていただきたいと思ってもいます。

ただし、私としては全ての若者が学生起業家を目指すべきだという結論を導きたいわけではありません。野球で例えるなら、皆が「高校卒業と同時に渡米してメジャーリーグ(スタートアップでいうユニコーン企業)を目指しましょう。」と言っているのではなく、大学野球に進んで勉学と両立しながらプロ(起業)を目指すキャリアの選択肢もあるのです。

様々な起業スタイルとスタートアップへの関わり方

起業への道筋は1つではありません。企業に就職して経験を積んでから起業してもいいでしょうし、本業を持ちながら副業で起業する「ハイブリッド起業家(副業起業家)」スタートアップを支えるスタッフ「起業参謀」として関わる方法、大企業内での「企業内起業(社内ベンチャー)」など多様な選択肢が存在します。

本講演では、大企業への就職を否定するものでも、全員が独立起業やフリーランスになるべきだと主張するものでもありません。都市部の大企業で実力を磨きながら、副業でスタートアップに関わることで、リスクを抑えてイノベーションに参画することも可能です。大企業への就職も多様な選択肢の1つなのです。

まずは知っておきたいスタートアップの基本

本講演会では基礎的なスタートアップの定義などについても確認しておきたいと思います。私自身、スタートアップの専門家というわけではありませんが、共通理解のために、基礎的な部分を説明させて頂ければと思います。

スタートアップの定義とは?(経済産業省)

「スタートアップって何?」と聞かれることがあります。分かりやすく説明すると、スタートアップは3つの特徴を持っています。1つ目は「新しい企業」であること。2つ目は「これまでになかった新技術やビジネスモデル」を持っていること。そして3つ目が「短期間での急成長を目指している」ということです。

スタートアップの社会的意義とは? ~スタートアップが重視される理由~

スタートアップの意義は、日本経済に新たな活力をもたらす可能性にあります。新しい仕事を生み出し雇用を増やしたり、環境問題、少子高齢化による地方衰退などの社会課題を新しいアイデアと技術で解決する可能性を秘めています。つまりスタートアップは、利益を追求するだけではなく、社会をより良くしていく役割としても期待されているのです。

スタートアップによる経済効果
・直接効果+間接波及効果=創出GDP19.39兆円
直接効果=10.47兆円
雇用創出52万人、所得創出3.27兆円

参考:経済産業省(2025年2月)

スタートアップとスモールビジネス ~あなたに合った起業スタイルは?~

起業を考える時、多くの人が「スタートアップ」という言葉を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、起業には大きく分けて2つのアプローチがあります。急成長を目指すスタートアップと、着実な成長を重視するスモールビジネス
どちらが良い悪いではなく、あなたの価値観やライフスタイル、目指すゴールによって最適な選択肢は変わります。それぞれの特徴を整理してみました。

スタートアップとスモールビジネスの比較

項目スタートアップスモールビジネス
成長戦略Jカーブの急成長を狙う着実で持続的な成長
目標規模ユニコーン志向(企業価値10億ドル以上)地域密着・適正規模での運営
資金調達VC(ベンチャーキャピタル)・エクイティファイナンス自己資金・銀行融資(デットファイナンス)
リスクとリターンハイリスク・ハイリターンローリスク・ローリターン
事業展開全国・世界展開を視野地域密着型が中心
事業継続創業5年以内でのEXIT(上場・売却・M&A)も長期的な事業継続を重視
社会への影響ビジネスモデルで社会を変革地域社会課題の解決に貢献

Jカーブが示すスタートアップの成長曲線

スタートアップのJカーブ

この図は、スタートアップとスモールビジネスの成長の違いを表しています。赤い線のスタートアップは、事業開始直後に大きく下降します。これは「赤字を掘る」フェーズで、システム開発や顧客獲得のために先行投資を行うためです。SaaS企業19なら開発費用やマーケティング費用で一時的に大きな赤字となりますが、軌道に乗ると急激な成長を遂げます。

緑の線のスモールビジネスは、事業開始初期から収益性を重視し、ローリスクで着実な成長を目指します。大きな先行投資が不要なため自己資金や銀行融資で始めることも可能ですが、その規模感からVC投資の対象になりにくい面もあります。

どちらを選択するかは、事業内容と創業者のリスク許容度によって決まります。スタートアップが目指すJカーブの成長曲線を実現するには大きな資金調達が必要ですが、スモールビジネスなら地域密着型のローリスクで安定した経営が可能です。

スタートアップとスモールビジネス それぞれの魅力と特徴

Jカーブの図で解説したように、スタートアップとスモールビジネスはそれぞれ異なる魅力を持っています。「急成長を狙うか、着実な成長を選ぶか?」自分に適したスタイルを見極めるためには、両者の特徴を具体的に理解することが重要です。

スタートアップの魅力とは?

革新的な技術やビジネスモデルで世界を変える可能性を持った起業スタイルです。チャレンジングではありますが、成功時の達成感とリターンは大きく、エネルギッシュでスピード感あふれる環境の中で圧倒的成長を目指せます。

スモールビジネスの魅力とは?

地域密着型で着実な成長を目指す起業スタイルです。ワークライフバランスを保ちながら、地域社会への直接的な貢献を実感でき、特に地方では、様々なコストの低さを活かした持続可能な経営が可能です。

スタートアップの基本手法とは?

スタートアップは、「破壊的イノベーション」により未開拓の新市場を創出したり、「持続的イノベーション」を通じて既存市場に変革をもたらすことを目指します。とはいえ、大きな変革を起こすために大博打を打つ必要はなく、リスクも抑えながら確実性を高める段階的なプロセスがあります。

最初のステップが「MVP(Minimum Viable Product)」です。最小限の機能を持つ製品を開発し、潜在顧客からのフィードバックを収集します。次に「PMF(Product Market Fit)」です。製品と市場の適合を達成すること。自分たちのサービスが市場に受け入れられているかを見極める重要な段階です。

PMF達成のタイミングで、VC(ベンチャーキャピタル)からの「エクイティファイナンス」による資金調達を行い、本格的な事業拡大に進みます。MVP開発からPMF達成、そして資金調達へと続く一連の流れが、スタートアップの基本的な成長プロセスです。

名古屋のオープンイノベーション拠点「Station Ai」視察から

StationAiの風景

2025年3月、musbunが本社をかまえる名古屋の「Station Ai」を鈴村氏の案内のもと視察する機会がありました。日本最大規模のオープンイノベーション拠点の名のとおり、700社を超える国内外のスタートアップ企業、パートナー企業、VC等の支援機関や大学が参画しており、スタートアップにとって理想的なエコシステムが形成されていると実感しました。

地方発の福祉スタートアップ「ヘラルボニー」

ヘラルボニーの絵画作品

視察で目を引いたのは「STATTION Ai」の壁面に描かれた色鮮やかなアート作品20でした。これらは岩手県盛岡市に本社を置く株式会社ヘラルボニー21によるもので、同社は2023年選定のJ-Startup Impact企業22として注目を集めています。

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに掲げ「LVMH Innovation Award 2024」では全世界1,545社の中からファイナリスト18社に選出23されました。

さらに、ヘラルボニーは、本社拠点のある盛岡市でも地域活性化にも積極的に取り組んでいます。「岩手異彩化プロジェクト」24では地元企業との協働でアートを使ったまちづくりを推進しています。

島原・長崎でも可能なローカルスタートアップ・エコシステムの創出

確かに地方はハード面では、都市部の充実したスタートアップ拠点には及ばないかもしれません。しかし、ヘラルボニーの事例が示すように、地方からでも全国・世界に影響を与えるイノベーションが生まれる可能性があります。島原や長崎でも、ソフト面での工夫。つまりは、仕組みづくり、人とのつながり、スタートアップ文化の醸成などにより、地方ならではの価値創造とローカルコンテンツを活かしたエコシステムを構築できるのではないでしょうか。

地域資源を活かした新しいビジネスモデル ~ローカル起業のすすめ~

ローカルコンテンツ
観光との連携・観光と食、地産地消、自家製クラフトコーラ

モノ消費からコト消費への転換

私どもが地域活性化に取り組んで着目しているのは、現代における消費行動の変化です。単純にモノを購入するだけでなく、体験価値を重視するコト消費へと変化しつつあります。この変化は、地域の強みと独自性を活かしたローカルコンテンツを中心とした事業展開、つまりローカルスタートアップやスモールビジネスにビジネスチャンスを見いだせるのではないでしょうか。

島原半島が有する豊かなローカルコンテンツの磨き上げや、組み合わせにより新たな価値創造・ビジネスモデル創出の実現可能性があるのではないでしょうか。

焚き火イベント ~地方の強みを活かしたアウトドア体験~

焚き火イベントの様子

アウトドア体験としての「焚き火イベント」についてお話します。都市部では自由に焚き火を楽しむ場所を見つけることは難しいですが、悠久会が運営する山の上カフェには常設のファイヤーピットがあり、市街地中心部から車で10分以内という手軽さでアウトドア体験ができる環境を整えています。市街地から、気軽に豊かな自然にアクセスできる環境は、まさに地方ならではの強みです。

焚き火イベントでは「食とアウトドア」を組み合わせた体験型コンテンツとして、バノック(焚き火で作る古代のパン)をはなぞのパン工房と連携して提供し、さらに島原むすびすの肉巻きおにぎり、そしてタキビストによる焚火焙煎珈琲25など、焚き火コンテンツを中心に、様々な地元事業者と協働し、音楽イベントも同時開催することで、自然環境の中で特別な体験価値を創出できました。

みんなのフェス ~森という非日常な空間でのアート作品展示~ 

みんなのフェスのイベント風景

2023年10月に開催した「みんなのフェス」では、山の上のカフェの森スペースを活用し、自然環境の中で障がい者アート作品を展示する取り組みを行いました。「どうぶつ」「しょくぶつ」などをテーマに多数作品が集まり、森の中を散策しながらアートと遭遇できる「森なかギャラリー」を実現しました。来場者からも「森の中にアートが溶け込んでいて素敵だった」というご感想をいただき、自然環境だからこそ実現できる特別な体験価値を提供することができました。

森でのワーケーション ~自然環境での新しい働き方の提案~

ローカルコンテンツを活かしたビジネス案として、「森でのワーケーション」というサービスの提供も可能であると考えています。コロナ禍によって働き方が大きく変化し、リモートワークが普及した現在、「どこでも働けるなら、より良い環境で」という選択を希望するビジネスパーソンも多いことでしょう。山の上カフェのように豊かな自然環境に囲まれた敷地の森スペースで、普段と違う環境での仕事を体験していただくことで、創造性が刺激され新たなアイデアが生まれるといった効果も期待できるのではないでしょうか。働く場所は、もはやオフィスだけではなく、多様な選択肢から選ぶことができる時代になったのです。

地域と関わる新しい働き方 ~複業・副業、ふるさと兼業、プロボノ

関係人口という新しい地方との関係性

近年の副業解禁の動きやコロナ禍によるリモートワークの普及を機に副業をする人が増え、都市部の人材が地方の企業やNPO、自治体などで活躍する機会も拡大しています。「ふるさと兼業」のような地方での副業や、プロボノ活動(専門スキルを活かした無償の社会貢献活動)にも大きな注目をしています。

地方への移住はハードルが高くても、関係人口26として地域に関わることで、都市部で培った専門スキルを地方で活かす新しい働き方が可能になります。関係人口という関わり方は、移住と観光の中間として注目されている新しい選択肢です。これは越境学習の機会でもあり、大企業で働く人も地方での副業を通じて新しい視点を身につけることができます。

関係人口の大分類:
③就労型(テレワーク)
本業として普段行っている業務や仕事(テレワークなど)、訪問地域外の業務や仕事(テレワーク/副業など)

地方副業とプロボノ~2つの関わり方の特徴~

関係人口として地方へ関わる方法は大きく分けて「地方副業」「プロボノ」の2つのアプローチがあります。本セミナーでは、「副業」の定義を「本業で培った専門スキルを活かし、新たな環境や課題に挑戦することで副業の経験が本業に還元でき、相互の成長と社会課題解決に寄与するスキル向上につながるもの」とさせていただきます。

(※転売、スマホゲーム代行等ではなく、専門性を活かして地域課題や地方企業の課題解決に貢献できる副業を想定しています。)

項目地方副業プロボノ
定義首都圏で働く人材が地方の中小企業等で副業を行うこと本業のスキルや経験を活かして取り組む社会貢献活動
対象組織地方の企業NPO(非営利団体)や地域団体
報酬報酬あり無報酬(意味的報酬)
責任範囲成果物に責任を持つアドバイザー・伴走中心
期待成果売上向上などのビジネス成果社会インパクトの創出
想定される人材実務経験豊富な専門人材、組織のリーダー層専門スキルを持つ社会人全般

未経験者や経験の浅い方にとっての地方副業の現実

経験や経験の浅い方が地方副業に取り組みたいという希望があっても、多くの場合フルリモートでの業務となるため対面でのサポートが受けにくく、そもそも地方企業も即戦力人材を副業人材には求めています。そのため、未経験者には乗り越えなければならない以下の課題があります。

  • 予測力・先読み能力:リモートでは細かな指示を受けにくいため、業務の全体像を把握し次のステップを予測し、副業先に自ら提案する能力が必要です。
  • 自律的な業務遂行力:指示待ちではなく、自律的に判断し、トラブルや疑問が生じても自ら対処して業務を進める能力が求められます。
  • 個人での責任とリスク管理:本業では会社がリスクを負い、品質管理をしてくれますが、副業では個人が責任を負うため、品質チェックやリスク管理を自身で行う必要があります。
  • 相談先の制約:本業の上司に副業の相談をすることは、秘密保持契約に反する可能性があり、再委託禁止条項に抵触するケースもあるため、孤立・独立した環境での業務遂行が求められます
  • 契約上の誠実性:副業案件には求める成果物やスキルレベルが明記されてあることが多く、そもそも自力で遂行する能力がないにも関わらず案件を受けることは、経験や能力の虚偽申告にあたり、契約違反や信頼失墜のリスクを伴います。

そのため、未経験者には実力や経験が伴わないうちから責任やスキルを求められる副業を避け、まずはトラブルを防ぐためにも社会人インターンなど学習を重視した関わり方から始めることをお勧めします。プロボノであれば無報酬のため企業側も責任を求めることも少ないと思いますし、アドバイザーとしての参加が中心となるでしょう。社会人インターンであれば研修的な要素が強いため、いずれも学びながら地域貢献できる現実的なアプローチといえるでしょう。

重要なのは、地域企業と都市部の人材が互いにメリットを享受できるwin-winの関係を築くことです。(都市部の人材が地域に貢献するだけでなく、地域の人材が大都市の企業にリモートワークや副業で貢献するケースも増えています。)地理的な制約を超えて、それぞれの強みを活かし合う双方向の人材交流が、新しい時代の働き方として注目されています。自分のスキルレベルや関わり方の希望に応じて、最適なアプローチを選択するとよいでしょう。

地方副業を実際に始めるには?

Q
地方副業やプロボノに興味はあるのですが、実際にどうやって始めればよいでしょうか?
A

副業マッチングサービス27を活用するのが効率的です。地方企業と都市部人材をつなぐ専門的なプラットフォームが複数存在しており、自分のスキルや希望する関わり方に合わせて選択できます。どのような案件や条件があるかを確認してみましょう。なお、悠久会では実際に副業プラットフォーム「サンカク」28を活用し、都市部の専門人材とのプロジェクトを進めています。
※副業を始める前の重要な確認事項:まず勤務先の就業規則で副業が許可されているかを必ず確認してください。副業が禁止されていたり、事前許可が必要な企業も多く、無許可での副業は就業規則違反となり懲戒処分の対象になる場合があります。また、副業が許可されている場合でも、本業に支障をきたさない範囲で行うことが前提条件です。)

プロボノ実践例とその効果 ~LANYによる支援事例~

悠久会では実際にデジタルマーケティング分野でプロボノ支援を受けています。「価値あるモノを、インデックスさせる。」のミッションを掲げる株式会社LANY29(代表 竹内渓太氏)から、SEO対策、コンテンツマーケティング、広告運用などの専門領域での助言をいただいています。LANYが目指す「デジタルマーケティングの力で強くて優しい社会を作る」というビジョンと、悠久会が目指す「あらゆる立場のすべての人々の心通い合う社会」の実現という理念の親和性により、効果的なパートナーシップが実現しています。

LANY_MVV
デジタルマーケティングで強くて優しい社会を作る

プロボノ事例

プロボノ支援の具体的な内容として、Webサイトの情報発信の助言(福祉の仕事の魅力を伝える採用コンテンツのアップデート)noteの活用支援などについてご助言をいただき、最新のデジタルマーケティングの知見を取り入れた福祉の情報発信力を強化することができました。(プロボノ支援内容の詳細はLANYのオウンドメディア「RING」30をご覧ください)

「ローカルスタートアップエコシステム・ファイヤーピットモデル」という切り口からエコシステム構築を考える。

ローカルでのスタートアップエコシステムを語る時に便利なのが「ローカルスタートアップエコシステム・ファイヤーピットモデル」という概念です。このモデルは、前述した山の上カフェのファイヤーピットお披露目を兼ねた焚き火イベントでの実体験からヒントを得ました。

焚き火イベントを通して気づいたのは、ローカルコンテンツには新しいビジネスモデルやローカルスタートアップを生み出す可能性があることです。豊富な焚き火コンテンツを持つタキビスト、はなぞのパン工房、島原むすびす、といった地域のローカルプレーヤーが、「アウトドア」という共通コンセプトのもとで連携し、それぞれの強みを持ち寄って協働で「場」を作り上げ、新しい価値創造が実現しました。単発のイベントで終わらせるのではなく、ローカルコンテンツを活かしたビジネスの種をまくことができました。

そして、この経験から、ファイヤーピットという象徴的な存在を活用した場作りが、異なる専門性を持つ人々の自然な交流と協働を生み出し、新しいビジネスアイデアやパートナーシップが育まれるプラットフォームとしての場が形成されるイメージと重なりました。この気づきをヒントに、ローカルスタートアップのエコシステム構築をモデル化し、他者にも理解しやすい形で伝えたいと考えました。

ローカルスタートアップエコシステム・ファイヤーピットモデルの構成要素

本モデルは、物理的なファイヤーピットを、リアルな場としてもエコシステム構築の概念モデルとしても機能するプラットフォームとして、以下の要素で構成されるローカルスタートアップ・エコシステムです。

ローカルスタートアップエコシステム・ファイヤーピットモデル

(Local Startup Fire Pit Model, Nagayo 2025)
要素役割解説
ファイヤーピット物理的拠点(集う場)・プラットフォーム起業家が集う場所、エコシステムの中心
火種起業家の情熱起業家の熱意・アイデア・原体験
アイデア・資金・人材・技術エコシステムを支える基礎となるリソース。スタートアップの炎を大きくする。
着火材MVP・プロトタイプ・初期資金アイデアから事業の具体化へ。初期製品、試作品など
風除け行政・金融機関・支援機関ローカルスタートアップの制約解消に取り組む。立ち上げ-継続支援
囲む人市民・副業人材・関係人口スタートアップコミュニティを形成し、共に盛り上げる仲間、火を絶やさないように手伝う人達。
熾火(おきび)スタートアップ文化・スタートアップ人材育成次世代へのスタートアップ文化の継承・再着火可能性を担う風土。文化と人を残す

ファイヤーピットからエコシステムへ ~ローカルコンテンツがビジネスを生み出す場所へ~

焚き火イベントからの検証では、ローカルコンテンツが新しいビジネス機会を創出できるか可能性を示してくれました。地元の食材、職人の技術、豊かな自然といったローカルコンテンツを、複合的なアプローチで組み合わせることで、都市部にはない独自の価値を生み出せることが分かりました。

この経験からヒントを得て、ローカルで起業を志す人々がファイヤーピットの周りに自然に集まり、ローカルコンテンツを活用したビジネスアイデアを語り合う場を構想しました。そこでは地域のプレーヤーや応援してくれる人たちとのつながりが生まれ、リアルな拠点としても構想上のモデルとしても機能するエコシステムづくりを目指しています。

起業を目指す人は孤独になりがちです。しかし、ファイヤーピットの炎を囲みながら、同じ志を持つ仲間と夢を語るような場があれば、孤独な起業家も温もりを感じられる環境を作れるのではないでしょうか。単なる理論モデルではなく、実在する「場」としてもローカルスタートアップを育む環境を作りたい。そんな想いから生まれたのが、このファイヤーピットモデルです。

そして最も重要なのが、私たちの世代が次世代の若い人たちの未来のために、この「熾火」となるローカルスタートアップの文化を丁寧に紡ぎ、受け継いでいくことです。一人の起業家が燃え尽きても、地域に「熾火」として文化が残っていれば、いつでも再着火できる環境を維持することができるのです。ローカルスタートアップの「文化」と「人」を残す環境を作ることが最も重要です。

お金だけじゃない新しい豊かさの考え方

ローカルスタートアップ・ファイヤーピットモデルは、従来とは異なる価値観を大切にしています。これまでのビジネスでは「とにかくお金を稼ぐこと」「競争に勝つこと」「効率よく進めること」が重要視されてきました。

しかし、本モデルでは「つながり資本主義」という考えも重視しています。お金の豊かさだけでなく、人・地域・文化のつながりを大切にし、みんなで協力して持続可能な社会を作ることを大切にしたいです。

例えば、売上の数字だけでなく「地域を活性化できたか」「地域の住民が笑顔になれたか」「人々の暮らしがどれだけ豊かになったか」「地域の文化が失われず紡ぎ続かれているか」といった、お金では測れない価値も大切に考えるべきかなと思います。

螺旋型成長モデル~急がない成長で地域と一緒にゆっくり大きくなる~

一般的なスタートアップは、短期間で急成長を目指します。スタートアップのところでも「Jカーブ」と説明した、最初は赤字でも後で一気に成長するパターンです。しかし、ローカルスタートアップでは「螺旋型成長モデル」という成長パターンも選択肢として考えてはどうでしょうか。急がずに、地域の人々との関係やローカルコンテンツを育てながら、一歩一歩着実に成長していく方法です。

まるで螺旋階段を上るように、似たような場所を通りながらも少しずつ高い場所に向かっていく。時には立ち止まったり、ゆっくり歩いたりしながらも、地域コミュニティとの信頼関係を大切にして、長期的に価値のあるものを作っていきます。失敗しても「学びの機会」として捉え、地域のみんなで支え合いながら成長していく。そんな温かい文化を育てることが、本当の意味での「真の豊かさ」につながるのではないでしょうか。

地域に根ざしたエコシステムと起業文化の形成

ローカルスタートアップは、単なる地域経済活性化の手段ではありません。人口減少社会において、新しい豊かさのあり方を探求し、多様な人々が共に歩める持続可能な経済モデルを築いていく取り組みです。そして地域と都市、福祉とビジネス、伝統と革新をつなぐ架け橋としての役割を模索しています。

島原のような地方都市でも、このファイヤーピットモデルを応用することで、地域に根ざしたスタートアップエコシステムを形成できるのではないでしょうか。地域外から完成されたモデルを持ち込むのではなく、島原半島の特性を活かした独自のエコシステムを丁寧に織り上げていくことが、真の地域活性化につながると考えています。

島原から広がる新しいキャリアの選択肢

今の若い世代の皆さんは、都市部での就職という選択肢に加えて、様々な働き方や生き方を選べる時代にいます。地域に根ざしたローカルスタートアップ、副業やプロボノ活動で地域に関わること、そして起業参謀などとしてスタートアップを支える働き方など、視野を広げてみると多様なキャリアを選択できるのです。

島原半島から全国に、そして世界に影響を与える新しいビジネスが生まれることを心から期待しています。焚き火を囲むように、自然と人が集まり、夢を語り合い、お互いを支え合える地域づくりを、皆さんと一緒に進めていければと思います。

クロストーク&質疑応答 ~参加者との対話から生まれた学びと気づき~

クロストークと会場からの質疑応答

第1部の講演終了後、鈴村萌芽さん(株式会社musbun CEO)、遠藤仁菜さん(日本福祉大学学生・musbunインターン)、長崎県新産業推進課の担当職員、そして私、永代秀顕(悠久会理事長)がステージに上がりクロストークを行いました。司会は私、永代が務め、会場の皆さんからもたくさんの質問をいただきながら、とても盛り上がった時間となりました。

講演だけでは伝えきれなかった起業の裏話や、学生インターンならではの率直な想い、長崎県の支援制度についてもう少し詳しく、そして島原のような地方でスタートアップを生み出していくために何ができるのか、といったことを皆さんと一緒に考えることができました。

クロストーク及び会場との対話をQ&Aで振り返る

今回は、クロストークや会場からの質疑応答のやり取りを質問と回答の形でまとめてみました。参加できなかった方にも、当日の雰囲気や具体的な話が伝わればと思います。

起業家のメンタルヘルスについて

Q
スタートアップを一人でやっていて心が折れそうになった時、どう乗り切りましたか?(永代→鈴村さん)
A

あまりネガティブになることは少なかったのですが、しんどい時はお客さんの声を聞くことで励まされていました。ユーザーからの感謝の言葉や要望を直接聞くことが、事業を続ける原動力になっていたんです。あとは趣味の川遊びでリフレッシュすることも大きな支えになっていました。

起業志向のキャリア展望について

Q
起業に興味があるということでしたが、今後スタートアップ企業にチャレンジしたい気持ちはありますか?(永代→遠藤さん)
A

正直、今はまだ迷いがあるというのが本音です。来年から社会人になるので、まずは社会人経験を積んでから、やりたいことがはっきりした時に、musbunのインターンで学んだことを活かして、いずれは起業も考えてみたいと思っています。

若い世代の起業に対する意識の変化について

Q
最近の学生や若い世代のスタートアップや起業への考え方は変わってきていますか?(永代→長崎県新産業推進課)
A

最近の高校生や大学生の方のビジネスやスタートアップに向けての関心は非常に高まっています。実際に県で開催しているビジネスコンテストや高校生向けのアントレプレナーシップ教育プログラムを見ていても、参加者の皆さんのプレゼンテーション能力やビジネスプランの完成度に驚かされることが多いんです。(長崎県新産業推進課)

永代:私が学生時代の時とは違って、社会課題を自分事として捉えて、それを解決するためのビジネスモデルまでしっかりと考えていらっしゃる。本当にちゃんと物事を考えていらっしゃるなと感じています。

スタートアップ支援制度について

Q
愛知県のスタートアップ支援制度で助かったものはありますか?長崎県でも起業を促進するために、鈴村さんのような起業家の立場から、どんな支援制度があるといいと思いますか?(永代→鈴村さん)
A

長崎県でも「ミライ企業Nagasaki」というビジネスコンテストを開催されているのは素晴らしいと思います。さらに活発化させるために、学生限定の部門や枠をより充実させると、学生の起業意欲が高まると思います。本気で起業を考えている学生にはまとまった資金が必要なので、学生部門の賞金をある程度高めに設定していただけると参加意欲も実際の事業化につながりやすくなると思います。私も7回目で出たコンテストの賞で70万円を獲得して、その賞金を初期資金にしてアプリ開発にチャレンジできました。

スタートアップの資金調達の現実

Q
スタートアップでは事業を加速するために資金調達も視野に入れると思いますがmusbunでは、現状どうされていますか?(永代→鈴村さん)
A

現在の事業運営では大きな仕入れとかは必要ありませんので、資金調達を行わず会社を運営しています。ただ、今後musbunのサービスを全国に広げることを考えると、銀行の融資やVCからの資金調達、行政の補助金などを活用できればとも思いますので、資金調達も検討しサービスを広げていきたいと考えています。

長崎県が求めるスタートアップ像

Q
今後、どのようなスタートアップが誕生してくれたら長崎県として嬉しいですか?(永代→長崎県新産業推進課)
A

特定の分野に限定して望むというよりも、皆さんが本当にやってみたいなと思うような事業を、県内の様々な地区で、例えば長崎市だけでなく、佐世保や島原、五島列島など、それぞれの地域の特色や資源を活かしたスタートアップが生まれてくれるといいですね。例えば、VR技術を活用した観光案内システムのように、長崎県の地域資源と新しい技術を組み合わせて事業展開していただけるような取り組みなども素晴らしいと思います。

教育現場からの質問 ~実際に起業を目指す学生とのとの向き合い方~

Q
学生からのビジネスアイデアが生まれても、実際のアプリ開発につなげるのが難しいのですが、実現させるためにはどんな方法がありますか?(参加者-教育関係→鈴村さん)
A

たまたまメンバーに工学部の学生がいて、プログラミングが得意だったんで、その子に骨格を作ってもらって、細かい部分のみを外注しました。場合によってはアプリ開発には1,000万円を超えるケースもあるのですが、かなり安く抑えることができました。

Q
アプリ開発の技術に詳しい仲間との出会いは、どのように作ればいいでしょうか?(参加者-教育関係→鈴村さん)
A

その工学部の子とはビジネスコンテストで知り合ったんです。コンテストは賞金のために出た気持ちもありましたが、実際には、仲間探しの場としてもすごく価値があります。同じような志を持った学生が集まる場所なので、仲間が見つけやすいのです。

Q
学生起業で収益化を進める現実的なステップを教えてください(参加者-教育関係→鈴村さん)
A

正直、最初は売上ほぼゼロでした。でも、この社会課題にずっと取り組んでいきたいという思いが強くなって、そのためにはお金が必要だなって気づいたんです。いきなり有料で導入してもらうのは難しいので、まずは無料で試してもらって、価値を感じてもらった企業さんに正式に導入していただく、という流れでマネタイズしています。

起業に必要な行動力と仲間集めについて

Q
起業に必要な行動力の源泉は何でしょうか?(参加者-金融関係→鈴村さん)
A

実は、私は三日坊主タイプで、長く続いたのはサッカーくらいでした。しかし、会社は4期目まで続けられています。それは「高齢者に恩返ししたい」という原点と、今の事業がしっかり重なっているからだと思います。やりたい理由がはっきりしているからこそ、行動を続けられるのではと思っています。

Q
会社の運営に必要な仲間はどのようにして集めましたか?(参加者-金融関係→鈴村さん)
A

大学の授業などで話す機会があるのですが、そのときに直接想いを伝えると、共感してくれた学生が仲間(インターン)になってくれます。リアルな場で語ることで、自然と一緒に頑張れる仲間が集まってくるんだなと思います。

Q
仲間集めでの失敗やそこから学んだことはありますか?(参加者-金融関係→鈴村さん)
A

一時期、面談もせずに「入りたい」と言ってくれた子を全員受け入れたことがありました。気づけば15人ほどになったのですが、想いもモチベーションもバラバラで、チーム全体がまとまらなくなってしまったんです。そこから学んだのは、数を増やすことよりも、自分の想いに共感してくれる人と一緒に働くことが大事だということを学びました。

オンライン参加者からの質問

Q
地方発のスタートアップの事例はありますか?(オンライン参加者→永代)
A

私のトークの中で説明した、障がい者アートの株式会社ヘラルボニーもそうですが、経済産業省の資料31などで情報提供がされていますのでご参考にしていただければと思います。

焚き火を囲むような協働の場 ~地域課題解決ワークショップの実践例~

グループワーク
ステップ1「地域課題の洗い出し」

講演後、参加者は4つのグループに分かれてワークショップを行いました。各グループは模造紙や付箋を使って地域の課題を特定し、解決策を検討した後、代表者が発表を行いました。司会は鈴村氏が務め、永代氏が総括コメントを行う形で進行されました。

参加者が生み出したローカルソリューション~多角的なアプローチの提案~

課題:人を見る文化がない
解決策:ゲストハウスを創ろう
  • 第1グループ:「人を見る文化がない」問題
    地域の文化的・社会的な課題に着目し、ゲストハウス事業による他地域・国際交流の促進で価値観の共有と文化発展を目指す提案を行いました。
  • 第2グループ:若者の居場所づくりとマナー問題
    若者の行動の背景にある居場所不足という構造的課題を分析し、コミュニティの場づくりと「不良文化(マイルドヤンキー文化)をビジネスに活用する」というユニークなアイデアを提案しました。
  • 第3グループ:人口減少と人手不足への多角的アプローチ
    IRとインバウンド活用、リモートワーク拠点創出、副業推進、ICT活用など包括的な解決策を提案し、特に制度的制約の見直しの必要性を指摘しました。
  • 第4グループ:県外在住者とのつながり維持
    東京や福岡を中心とした長崎県人寮の運営と、企業スポンサーによる継続的なイベント開催で関係人口との繋がり強化を提案しました。

協働が生んだ地域課題解決策 ~ワークショップから見えた可能性~

各グループの提案を見ていると、目に見える問題だけでなく、背景にある本当の原因まで考えて解決策を提案しようとする姿勢が印象的でした。参加者それぞれが地域での実体験を持ち寄り、協働でアイデアを生み出していく様子がうかがえました。

このワークショップの様子を見ていると、まさに講演で提案した「つながり資本主義」の実践例だったのではないでしょうか。お金の豊かさだけでなく、人と地域のつながりを大切にしながら、みんなで協力して課題解決に取り組む姿勢が随所に見られました。

焚き火を囲んで想いを語り合うような温かい雰囲気の場で、地域の特性を活かした独自のアイデアが生まれていく。このワークショップ自体が、ローカルコンテンツから新しいビジネスの種をまくことができる検証の場として機能したといえるでしょう。

まとめ 「ないなら創ろう」から始まる島原発イノベーションの未来を願って

小さな一歩が生み出す大きな変化

今回の「ローカルスタートアップセミナー島原」を通じて実感できたのは、地方におけるイノベーション創出の可能性でした。株式会社musbun鈴村萌芽氏の「知識ゼロ・仲間ゼロ・お金ゼロからでも起業はできる」という実体験、日本福祉大学遠藤仁菜氏の「3:7の現実を乗り越えた成長」の大学生としての体験談、そして長崎県の本格的なスタートアップ支援体制の紹介により、若い世代にとって新しいキャリアの選択肢が具体的に見えてきたことでしょう。

地方ならではの価値創造モデル

悠久会の「福祉×まちづくり×SDGs」による六方よしの実現や、ローカルスタートアップ・ファイヤーピットモデルの提案は、急成長だけを目指すのではなく、地域に根ざした持続可能な新たな価値創造の形を示しています。「つながり資本主義」という豊かさの概念のアップデートや「螺旋型成長モデル」では、地方の強みと独自性を活かしたエコシステムの可能性を提示することができました。

参加者から生まれた具体的な課題解決策

ワークショップでは「人を見る文化がない」問題から「県外在住者とのつながり維持」まで、参加者自身が地域の構造的課題を分析し、創意工夫に富んだ解決策を協働で生み出しました。この光景こそが、まさに本セミナーのテーマ「ないなら創ろう」の実践そのものでした。

島原から広がるローカルイノベーションの種

今回のセミナーで終わりではなく、島原半島でのローカルスタートアップエコシステム構築に向けた「初めの一歩」です。長崎県が進める県内各地での機運醸成の取り組み、2025年10月10日の島原開催予定のスタートアップ創出・育成ワークショップ、そして今回参加された皆さんの想いと行動が、この地域に新しいローカルスタートアップの文化を根づかせていくことでしょう。

豊かなローカルコンテンツを誇る島原半島から、全国、そして世界に影響を与える新しいビジネスが生まれる日も遠くないかもしれません。「ないものを嘆く」のではなく「ないなら創ろう」という前向きな想いを胸に、一人ひとりができることから始める。その小さな炎が、やがて地域全体を照らす大きな光となることを期待しています。焚き火を囲むような温かい、つながりの中で島原発の新しい未来が静かに、しかし確実に始まろうとしています。


  1. 水脈mio-島原市万町商店街にある築170年の古民家を改修し、ホテル・カフェ・コワーキングスペースの機能を持った複合施設。2023年3月開業 ↩︎
  2. ローカルスタートアップ支援制度-総務省-確認日2025年8月11日 ↩︎
  3. 副業・兼業の促進に関するガイドライン-厚生労働省-策定2018年1月(改訂2022年7月) ↩︎
  4. 株式会社musbun-2021年創業-代表取締役CEO鈴村萌芽-本社:愛知県名古屋市 ↩︎
  5. STATION Ai-2024年10月1日開業-日本最大規模のオープンイノベーション拠点 ↩︎
  6. あいちスタートアップ創業支援事業費補助金(起業支援金)-愛知県-掲載日2025年5月26日 ↩︎
  7. PRE-STATION Ai-愛知県-掲載日2022年5月25日 ↩︎
  8. キャリシー-学生との出会いを創出する新卒採用プラットフォーム-2024年4月23日サービス開始 ↩︎
  9. musbun-学生のためのボランティアのマッチングアプリ-2022年1月サービス開始 ↩︎
  10. 金城学院大学-1889年開校-愛知県名古屋市の私立女子大学 ↩︎
  11. CO-DEJIMA-長崎県が設置したスタートアップ支援拠点-2019年開設 ↩︎
  12. 長崎県スタートアップカオスマップ-長崎県-2025年1月時点(2024年版の概要であり、今後更新する物はカテゴリーや基準などを変更可能性あり) ↩︎
  13. 出島っぷ(DEJIMAP)-長崎県内のスタートアップ企業や関係する施設、支援機関だけでなく、クリエイティブな活動や場所、コミュニティなどに関する魅力ある情報を地図情報と紐づけて掲載 ↩︎
  14. ミライ企業Nagasaki-長崎県-チャレンジ部門とスタートアップ部門の2部門に分かれて開催されている。 ↩︎
  15. スタートアップ創出・育成ワークショップ-長崎県-2025年度は長崎県内9地区にて開催予定 ↩︎
  16. 第15回九州駅弁グランプリ-JR九州-2025年3月3日表彰式(決勝グランプリ)-投票期間:2024年9月1日~2025年1月13日-投票総数4,258票 ↩︎
  17. EKIBEN JAPANジオむすび弁当が放送-NHK国際放送-放送日2025年8月10日 ↩︎
  18. しまてつカフェトレイン-島原鉄道-島原半島の地元グルメやスイーツを味わえる観光列車 ↩︎
  19. SaaS-「サース」と読み、ソフトウェアをネットワーク経由で利用するサービスなどを示す。従来のようにパソコンにインストールする必要がなく、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能。Saas例としてGoogle Workspace、Salesforce等-出典:経済産業省「SaaS向けSLAガイドライン」 ↩︎
  20. 「STATION Ai」にヘラルボニーの契約アーティスト47名によるアート作品152点を設置-PRTIMES-掲載日2024年10月9日 ↩︎
  21. 株式会社ヘラルボニー-「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、障害のあるアーティストが描くアートデータ2,000点以上を管理し、多様な形で社会に送り届けている。J-Startup Impact企業(2023年) ↩︎
  22. J-Startup Impact-官民によるインパクトスタートアップ育成支援プログラム-経済産業省-2023年10月6日 ↩︎
  23. ヘラルボニー、LVMH Innovation Award 2024で「Employee Experience, Diversity & Inclusion」カテゴリ賞を受賞-PRTIMES-2024年5月24日 ↩︎
  24. 「岩手異彩化プロジェクト」-盛岡市と包括連携協定を結び、多様性が受け入れられるまちづくり分野の推進に取り組んだ。PRTIMES-2024年4月10日 ↩︎
  25. 焚火焙煎珈琲-薪を使って焙煎したコーヒー。無農薬栽培の生豆を使用。 ↩︎
  26. 「関係人口」とは-移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指す。-総務省 ↩︎
  27. 副業マッチングサービスとは、地域企業と都市部人材を結ぶオンラインプラットフォームでサービスの一例として、ふるさと兼業YOSOMON!Skill Shiftなどがある。 ↩︎
  28. サンカク-運営会社:株式会社インディードリクルートパートナーズ-副業プラットフォームとして、利用者が本業では経験できない、他社・他分野の課題に参画でき、新たな視点や経験を積むことができる仕組みを提供している。 ↩︎
  29. 株式会社LANY-SEO対策、コンテンツマーケティング、広告運用などを手がけるデジタルマーケティング支援会社-代表取締役 竹内渓太(note↩︎
  30. RING-株式会社LANYによるプロボノ活動を紹介するメディア-本事例は「社会福祉法人悠久会-全ての人々の心が通い合う 心豊かな社会の実現」に向けたデジタルマーケティングエージェンシーLANYのプロボノ活動事例」を参照のこと ↩︎
  31. 地方発のスタートアップ事例の掲載された資料-経済産業省-「行政との連携実績のあるスタートアップ100選」(2023年4月18日)や「自治体と地域課題解決に取組むスタートアップの官民連携に向けた実践ガイド」(2025年7月30日)などに地方発のスタートアップ事例が掲載されている。 ↩︎

Sustainable Development Goals

悠久会は、持続可能な開発目標(SDGs)を推進しています。

  • ブックマーク

この記事を書いた人

永代 秀顕

〔プロフィール〕
社会福祉法人悠久会の理事長。大学で社会福祉を学び卒業時に社会福祉士(certified social worker)を取得。2005年入職、2019年より現職。
悠久会は長崎県の島原半島を中心に福祉事業を行っており、SDGsとまちづくりを含めた社会課題と福祉課題の同時解決に取り組んでいます。

〔保有資格〕
・認定社会福祉士(障がい分野)
〔活動等〕
・SDGsアンバサダー(日本青年会議所公認)として、自法人でSDGsの実践に取り組むと同時に、社会福祉法人が取り組むSDGsの事例等について講演や福祉業界紙への執筆活動等を行っています。
〔所属団体等〕
・(一社)長崎県社会福祉士会 (2016年~2019年 副会長)
・(一社)長崎県知的障がい者福祉協会 理事、九州地区知的障がい者福祉協会 理事
・(一社)島原青年会議所 第64代理事長(2020年 卒会)