社会福祉法人悠久会では、積極的に大学生等の学生インターンシップを受け入れています。今回は「医療系学生が福祉と地域を学ぶ」をテーマとする「ちいここ合宿In長崎〜musbunと共創する福祉を知る3日間〜」のインターンを開催いたしました。本記事では実際に行われた福祉インターンのプログラムの紹介と参加者の感想等を紹介させていただき、今後、地方や福祉でのインターンシップの参加を検討している学生の方への参考情報を提供できればと思っています。
社会福祉法人悠久会では「福祉×まちづくり×SDGs」をテーマに事業を展開しておりますので、福祉・介護系以外のインターンシッププログラムの提供も行っており、地域やまちづくりに興味がある方、福祉を知りたい福祉系学部以外の学生さん等の幅広い参加も可能となっています。
福祉インターンシッププログラム概要
今回のインターンシップにおいては2泊3日型のプログラムにて実施いたしました。ちいここの学生さん達は「地域と医療の全てがここにある」をテーマにVUCA時代における医療職の働き方の多様性、地域生活における多様な医療ニーズ、患者の地域生活を視野に入れた医療のあり方を模索するという目的を持っています。地域医療の関連・周辺領域である地域生活と福祉との関わりについて学びを得ることが今回のインターンシップの目的でもありました。
目的を達成するために、まずは2月に事前勉強会(オンライン)にて福祉及び地域(島原半島)の概要を学びました。そして、本番の島原での2泊3日のインターンシップ合宿において下記の内容でインターンシッププログラムを実施しました。
ちいここ合宿In長崎の概要
<1日目>
オリエンテーション、地域を知るための島原散策、交流を深めるために山の上カフェのBBQスペースにて悠久会の職員も交えたBBQを行いました。
<2日目>
福祉事業所見学として障害者支援施設(入所施設)、就労継続支援事業所(はなぞのパン工房、島原むすびす、きらり作業所)、企業主導型保育園のいろは保育園、放課後等デイサービスのスマイル等の事業所を見学し、午後からは福祉事業所の課題を実際に福祉現場で働く職員さんからヒアリングを行い、夕方に南風楼にて温泉入浴の後に、夜に最終日の発表に備えプレゼン資料作成を行いました。
<最終日:3日目>
2チームに分かれ、2日目にヒアリングした事業所の課題や学んだことを発表し、悠久会の職員による講評等が行われました。プレゼン後に車椅子の乗車体験や福祉車両の体験等を行い2泊3日の全プログラムが終了いたしました。
さらに、より詳細に本インターンシッププログラムを説明させていただきます。
“「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(概要)(PDF)」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省の三省合意)2022年6月13日”により、インターンシップの定義が変わり、就業体験の必須化及び5日間以上のプログラム期間が必要となっています。現在では「タイプ2:キャリア教育」に該当するものと思われますが、本記事内では、当時の状況のまま「インターンシップ」の呼称を使用しております。ご了解ください。
事前学習会で学んだこと
①福祉について ~障害福祉の歴史と制度の変遷~
措置制度-支援費制度-障害者自立支援法-障害者総合支援法の障害福祉制度の流れについて説明いたしました。
②福祉を取り巻く近年のトレンド ~介護保険分野を参考に地域福祉を知る~
「地域包括ケア」や「地域共生社会」の概要について触れました。
③社会福祉法人悠久会について
・悠久会の歴史について
長崎県島原市を中心に障害福祉サービスを中心とした事業を行う社会福祉法人悠久会についての概要を措置制度から障害者総合支援法までの流れを沿革や歴史をもとに説明いたしました。
・悠久会のSDGsの取り組み
SDGsの取り組み事例や地域活性化、地産地消の推進(地産地消をテーマのおむすびカフェ島原むすびす)悠久会の理念やビジョン、方向性について説明いたしました。
④島原半島について ~島原半島の魅力~
「地域を知る」ことも主要テーマですので、島原半島(雲仙市・島原市・南島原市)の地域の特色や地域資源、観光資源、島原市のおすすめスポットの紹介等をさせていただきました。
1日目の福祉インターンシッププログラム
○オリエンテーション&ガイダンス
お昼頃に皆様が到着し、昼食に島原むすびすの火山弁当(九州駅弁グランプリ入賞弁当)を提供し、オリエンテーション後に、社会福祉法人悠久会の理事長 永代秀顕によるガイダンスを実施しました。
ガイダンス概略
①本インターンシップの目的
②福祉制度について
障害福祉のサービス体系について、介護保険制度との違いについて説明しました。
③福祉分野の職種について
社会福祉法人悠久会で働く職員の職種(生活支援員、相談支援専門員、職業指導員等)についての説明しました。
④福祉の専門性について
介護福祉士や社会福祉士等の専門職の定義等から福祉専門職の理解につなげる、知的障害の基本的知識を学びました。
⑤悠久会の課題(福祉×まちづくり×SDGs)について
社会福祉法人悠久会の抱える福祉課題(重度高齢化・強度行動障害)及びまちづくりの課題、就労支援における地域経済活性化やSDGsの推進、地域との関わり、社会課題について学びました。
○島原散策
島原の地域分析及び、他地域出身者から見た島原の魅力や課題を発見するべく島原市内の商店街等のまち歩き、観光地である島原の魅力を体感するために島原散策を行いました。このプログラムで感じた学び等は最終日のプレゼンで発表します。
○山の上カフェGardenでのBBQ
社会福祉法人悠久会が運営する山の上カフェGardenのBBQスペースにて地元産野菜等を用いた地産地消のBBQメニューやアウトドアメニューの、まきまきパンを体験し島原半島の食のポテンシャルに触れる機会を設けました。悠久会の職員も参加し、島原市の夜景が一望できる絶景の山の上カフェGardenにて、地域や福祉現場の話等を聞く医療と福祉の交流の機会となりました。
2日目の福祉インターンシッププログラム
○1日目の振り返り(島原散策からの地域診断)
まずは1日目の振り返りとして、島原散策した際に島原のまちに抱いた感想やその魅力等について、皆でグループワーク形式にてディスカッションしました。
島原の活性化や観光地としての魅力、医療・福祉視点も交え様々なテーマをもとに、まちづくり・福祉のまちづくり等の視点で意見を出し合いました。
○福祉事業所見学
障害者支援施設(入所施設)の明けの星寮、若菜寮。就労継続支援事業所のきらり作業所、島原むすびす、はなぞのパン工房。放課後等デイサービスのスマイル、企業主導型保育園いろは保育園を見学しました。昼食は山の上カフェGardenにていただきました。
○福祉事業所ヒアリング
若菜寮-スマイルチーム、島原むすびすチームと2チームに分かれ、実際の地域福祉の現状や課題等について福祉施設職員へのヒアリングを行いました。ヒアリングで得た課題感と学びについては最終日にプレゼン発表いたします。
○島原散策その2
夕方からは島原散策の第2弾として島原の天然温泉で有名な南風楼にて入浴を行いました。道中に島原初市も開催されていましたので、初市見学も行い島原の歴史文化や観光資源に触れることもできました。夜は宿舎にて最終日のプレゼン発表に向けてスライド作りに取り組んでもらいました。
3日目の福祉インターンシッププログラム
○車椅子及び福祉車両乗車体験
学生同士で車椅子に乗り、車椅子体験と車椅子乗車体験、福祉車両への乗車等の福祉体験を行いました。
○最終チーム発表
本インターンシッププログラムで得た学び等についてチーム毎に作成したプレゼン資料をもとに発表し、悠久会の職員より講評(フィードバック)を行いました。
今回のインターンシップにおいて協力・参画してくれた「ちいここ」「musbun」について
医療系オンラインコミュニティ「ちいここ」とは?
地域と医療を学ぶ、医療系学生のオンラインコミュニティ。オンラインだけではなく合宿やツアー等も実施されています。今回は全国各地から医学部の学生さん7名が参加してくれました。
ちいここ公式Twitter
musbunとは?
「福祉をもっと身近に!」をテーマに、近年の福祉人材不足等といった社会課題を解決を目指し、福祉の魅力を伝えるために学生向けのボランティアやインターン等のマッチングサイトを運営していたり、講演やイベント等を行っている現役女子大学生が起業したスタートアップ系企業です。今回のインターンシップでは企画と運営のお手伝いをしてもらいました。
musbun公式HP
社会福祉法人悠久会が福祉インターンシップに取り組む理由
近年は就職活動や業界研究、職種理解のためにインターンシップの重要性が増しています。実際の仕事の体験を通して得る学びは大学の講義とは違った知見を得ることができるでしょうし、就職先を検討するにあたり自己分析や就職のミスマッチを防ぐために重要です。
しかし、社会福祉法人悠久会においては新卒採用活動の目的だけにインターンシップを提供しているのではなく、今回のインターンシップのように関連領域である医療職等との連携を深めるために福祉を知ってもらう機会、福祉職を目指すつもりはないが社会課題を知るために福祉の実態を知りたい方、福祉に関わらず地域課題を知りたい、SDGsの取り組みを知りたい等の福祉分野以外の学びを得たい方等のインターンシップの受け入れを行っています。
地域(島原)の理解や福祉の理解の機会を提供することで必ずしも福祉職に就かずとも、社会課題の解決のために福祉との関連領域として関わる方、地域活性化のために地域課題に取り組む方との連携や障害福祉の理解促進啓発につながるだけでもインターンシップの機会を提供する価値があると考えています。
また、我々も若い世代や福祉以外の分野の方と関わることにより多様な視点による気づきやアイディアを得ることができますので我々にとってもメリットがあると考えています。ですので福祉職の就職を検討している学生はもちろん、まちづくりやSDGs等に興味関心がある幅広い学生さんにインターンシップの機会の提供をできればと考えています。
今回のちいここ合宿への参加目的や福祉インターンシップに期待すること
今回のインターンシップへの参加ニーズ・目的及び課題感も参加者様々でした。最終プレゼンの場や最終インタビュー、インターン中の雑談にて色々な参加の動機を聞くことができました。下記に主な参加目的をまとめました。
- 医療と福祉の連携と言うものの実際の福祉の現場を知らないために連携のイメージが湧きにくいので、福祉を知る必要があると感じたため。
- 地域において医療や支援につながっていない人への介入を医療者としてどうするべきかのヒントを得るため
- 地域や福祉、まちづくりに興味がある。
- 地域医療に関わる者として地域における自分達の役割や何をすべきかを考える場を得るため。
- 医療を学ぶ機会は多いけれどもそれ以外の福祉等について学ぶ機会が少なかったので福祉について知る機会が欲しかった。
上記のように様々な参加動機を確認でき、医療者として幅を広げるためだったり、自己課題の解決につなげるため等が本インターンシップの参加目的だったようです。
福祉インターンシップ参加者の声や学べたこと
今回のインターンシップに参加しての感想等もいただきましたので紹介させていただきます。
ちいここ合宿を通じて、「福祉」の仕事をどう感じたか
- 地域力を上げるため、これからの医療を考えるにあたって必要不可欠であり、よりもっと行政と医療側が寄り添っていくべきだと改めて感じました。
- 周辺環境との密接な関係性。通所や入所関わらず利用者さんが日常生活を送る上で不可欠な存在
- 福祉について暗いイメージがありましたが、合宿を通じてそのイメージが変わり、利用者さんの幸せを追求することで、自分たちも幸せになれる仕事なのだと感じました。
- ひとの一番近くで寄り添うことができる仕事
- 悠久会の福祉と他の事業者の福祉は異なると思う。ただ、悠久会の職員さんは、利用者さんの『人生の伴走者』としてやりがいを持って仕事をしており、本当にかっこよかった。
- 愛のある仕事だと思った。思いのほか、やりがいのある仕事なのだと誇りを感じました。
- 医療の業界にいるからこそ、より一人の人の暮らしの時間軸や人生の中で、医療はほんの一部ですが、福祉はもっと人の人生の中で関わりが深く、密接具合も高い職業ではあるけど感情をたくさん使う職業であり、正解がより見えにくい分野なのかなと思いました。
参加学生のアイデア(医療と福祉の連携を推進するために)
- 音楽療法やペットセラピーなどの導入、また医療関係者側の偏見をなくすための交流。
- 往診の活発化(福祉施設も巡回)。ジェネラリストの育成、誘致。
- 病院食を作ったり、掃除をしたりする作業を就労支援事業所に委託できるのではないかと思いました。
- 医療と福祉の現場を一緒にする(分けない)
- 訪問の頻度を増やす。
- 訪問診療に特化した医療体制を作る。
- まちづくり
- 医療者と利用者が一緒に参加できるイベントがあれば参加したい。(それこそBBQなど)
- 医療系学生の中でも、医師、看護師などが、福祉を学ぶ機会が本当に少ないと感じました。それは逆も一緒かなと感じましたので、お互いのことをすべて知ることはできなくても、どのようなタイミングで接点があるのか、連携があるのか等の視覚化と、そこを意識した学生間の交流を積極的に行えたらいいなと思いました。
各種インターンシップのプログラムの参加目的を達成するために提供できるプログラム(悠久会インターンの特色)
今回のインターンシップを終えて、企画段階からのプログラム構築について検討したことと参加者の感想等を踏まえて悠久会におけるインターンシップの特色について考察いたしました。
社会福祉法人悠久会の事業所の立地の特色として、グループホームや入所施設、及び就労継続支援事業所等の暮らす場所や働く場所のほとんどが島原駅周辺のまちなかにあるという立地特性がありますので、福祉関係の利用者の方々の地域・まちなかでの暮らしや就労の場がイメージしやすい環境です。
さらに島原市の特色として比較的まちの機能がコンパクトにまとまっており、地方ではありますが法人の所在地等から徒歩で周遊することも十分に可能な利便性の高いエリアです。
また当法人では介護分野以外にも相談支援サービス、保育サービス、就労支援系サービスとして飲食店(カフェやパン屋)少し変わった就労メニューとしてデジタルものづくりの分野であるFab事業やアウトドアメニューの開発(焚き火イベント等)等の幅広い分野をカバーしています。
ゆえに介護分野に限らず、地域活性化やまちづくり、SDGsの推進等の多種多様なインターンシッププログラムが提供可能であることが本法人の特色です。
インターンシップに参加を検討している方へ、目的別プログラム等の例
当法人では福祉学生を対象とする福祉系インターンシップ以外にも、福祉学部以外の学生の方々へのインターンシップも提供していきます。下記の参加目的の学生の方にはおすすめです。
- 多種多様な福祉を学びたい ~福祉体験インターンシップ~
介護分野以外にも就労支援や相談支援分野等の幅広い福祉サービスを行っていますので、幅広く福祉現場を学び体験したい方、障害福祉サービスを体験したい方におすすめです。(福祉学部以外の方の福祉体験もOKです) - 福祉×まちづくりに興味がある方 ~福祉とまちづくりインターンシップ~
当法人では地域活性化やまちづくり分野にも関わることが多く、就労支援事業を通じた地域経済の活性化、地産地消の推進。アウトドアイベントやアウトドアメニュー等の開発等でまちづくりに関わるインターンプログラムの提供が可能です。 - 地域留学・福祉留学・地方に興味がある ~地域留学・福祉留学インターンシップ~
長崎県の島原半島は海や山等の豊かな自然、豊富な温泉や観光資源があり、当法人が所在するエリアは島原駅周辺でありながらも自然へのアクセスが容易であり、都会でもなく不便すぎないエリアです。ローカルに興味のある学生の方で地域活性インターンを希望する方にもおすすめです。 - SDGsに興味がある ~SDGsインターンシップ~
当法人ではローカルSDGs(地域循環共生圏)を推進しており、SDGsの取り組み事例も豊富にあります。社会課題の解決に興味がある学生の方にもおすすめであると思います。
当法人におきましては学生の方々の多様なニーズに合わせ、インターンシッププログラムも柔軟にカスタマイズして提供いたします。対象学年も大学1年生・専門学校1年生からの早期からの参加も可能です。
インターンシップ参加について留意事項
- 様々なインターンシッププログラムをご希望される場合は各部門との調整やニーズの把握のために事前打ち合わせをお願いしております。
- 就労系事業所の一部は土日営業を行っていない事業所もありますので土日の就労系プログラムをご希望の方は事前に調整又は対応が困難な場合もあります。
- 中長期インターンシップをご希望の場合は受け入れ準備等ございますので事前打ち合わせを余裕をもってお願いいたします。
- 感染症が蔓延している際や台風等の自然災害が予測される場合には受け入れ時期の延期をお願いする場合があります。
- 食事に関しては昼食の提供は可能です。
複数名でのグループ参加も可能な宿泊所も完備しております。
1Day型インターンシップや見学・体験であれば柔軟に受け入れは可能ですが、宿泊型や複数名での参加、複数の事業所を網羅的に体験するインターンシップの場合は準備がありますのでご希望時期の1ヶ月以上前の時期から打ち合わせをお願いできればと思います。
まとめ ~悠久会は若者の挑戦や学びを支援するために積極的にインターンシップを募集中です~
本記事では事例をもとにインターンシップのご紹介をさせていただきました。
社会福祉法人悠久会ではこれからの福祉やまちづくりを担う次世代の挑戦や学びを支援するために積極的にインターンシップを受け入れています。
悠久会では多種多様なニーズに合わせたプログラムが提供できますので、今後インターンシップを検討される方はご相談いただければと思います。今後も福祉分野のプログラム、他分野(まちづくり・SDGs)のプログラムも充実していければと思います。
※詳細は上記リンクよりご確認ください。