悠久会で働く職員が、仕事のやりがいや実際の体験談を語る本企画。今回話を伺ったのは、障がい者支援施設「明けの星寮」で生活支援員として勤務する伊達直也さん。障がい者支援や高齢者介護の経験者で2020年に入社した伊達さんに、悠久会でどのような働き方をしているか聞いた。
入社のきっかけは「海岸の清掃活動」
伊達さんは明けの星寮がある島原市の出身だ。海が大好きで、先日は沖縄を訪れ初のダイビングを経験した。
釣りも好きだ。休みの日には海釣りに出かける日が多い。「ただ、魚を食べるのは苦手でして。釣った魚は家族に食べてもらっています」と笑う。
そんな伊達さんが悠久会に入社を決めたきっかけは2020年、プライベートのドライブ中に海岸の清掃活動を見つけたことだった。
「ドライブ中に悠久会の方々が海岸清掃をしているのを見かけたんです。SDGsの活動に尽力している姿を見て、興味を持ちました」
ドライブは伊達さんの趣味のひとつだ。中型免許を取得しており、施設のイベントではマイクロバスの運転手として活躍する。
自分の父親が悠久会で看護師として勤務していることから、施設の存在は知っていた。清掃活動に参加していた知り合いの職員に悠久会のSDGsへの考えや普段の仕事について詳しく聞き、ますます興味がわいた。伊達さんは障がい者支援施設で7年、高齢者介護施設で1年勤務した経験がある。しかし、当時は福祉業界から離れていた。
「障がい者支援の仕事に戻りたい気持ちは、ずっともっていました。悠久会の環境保全活動が、わたしと福祉業界をまたつないでくれました 」
難病を抱えながら働く伊達さんの「現在地」
伊達さんが悠久会に入社したのは2020年2月だ。2023年4月、現在の勤務先となる明けの星寮に赴任した。
伊達さんはおもに利用者の生活支援を担当している。具体的な業務は、食事・入浴・排せつの介助だ。勤務はシフト制で、日勤と夜勤がある。
「日勤の場合は朝7時半ごろに出勤し、利用者の食事や排せつの介助から1日が始まります。入浴が予定されている月曜、水曜、金曜は、男性利用者の入浴介助も担当しています。夜勤の際は16時から翌朝9時まで勤務し、夜間の見守りや緊急時の対応、利用者の体位交換 などを行います」
また、月ごとに担当を決めてイベントを企画・実施しており、利用者の生活に楽しみを提供する工夫をしている。
伊達さんは、生まれつきの難病を抱えている。しかし上司や同僚の理解があり、安心して業務に取り組める環境があると語る。
「困っていることがあれば、周りの職員や上司と相談しながら業務にあたっています。コミュニケーションを密にとっていただけるので安心感があり、集中して仕事に取り組めています」
仕事のやりがいは「利用者さんのご家族からいただく感謝のことば」と話す伊達さん。
「ご家族の方とは面会の際にお話する機会があるんです。ご家族がご高齢の場合はお電話で利用者さんの様子を説明することもあります。その際に『ありがとうございます』や『よく見ていただいてますね』と言葉をいただくと、本当にうれしいです。これからもご家族とコミュニケーションをとりながら、信頼関係を構築していきたいですね」
父と祖母の影響を受け福祉の道へ
伊達さんと障がい者福祉との関わりは、幼少期にさかのぼる。
「障がい者支援施設で看護師として働いていた父が、障害のある方々を自宅に連れてくることがあったんです。ですから障害のある人との交流はわたしにとって日常で、特別なものではなかった。小学校や中学校では、障害のある同学年の生徒が支援学級に通うのを見ていました。ずっと身近なところに障がい者の存在があったように思います」
さらに祖母の存在によって、高齢者の福祉にも関心があった。当時、同居していた祖母は、年齢を重ねるごとに自身でできることが少なくなっていたという。
「小さいころから祖母に面倒をみてもらっていたのですが、しだいにこちらが手伝う場面が増えていました。介護が身近な存在だったことで、自然と福祉系の仕事を目指すようになりました」
福祉系の専門学校に進学した伊達さん。悠久会に入社してから、思いがけない出会いがあった。
「明けの星寮に来てから、何人か見覚えがある利用者さんがいたんです。あとになって、専門学生時代に関わった子どもたちだと分かりました。当時、障害のある子どもたちと2泊3日一緒に過ごすイベントがあったんです。それに参加してくれていた子どもたちでした。10年前は多動の特性があった子の、少し落ち着ついた姿を見たときは、成長を感じてうれしくなりました。でも、笑った顔は、昔のままです。体は大きくなっているのに、不思議ですよね」
伊達さんの「将来の夢」
介護福祉士の資格をもつ伊達さんは、社会福祉士の資格取得を目指して勉強中だ。悠久会には資格取得を支援する制度があり、研修休暇や資金面でのサポートを受けられるという。
「将来は、就労支援に携わりたいと考えています。社会福祉士の資格を取得すれば、新しい進路の提案や、相談支援と連携したサービス提供のように、より広い視野をもって利用者さんと関われる。働きながら資格を取得するのは大変ですが、目標に向かって頑張りたいです。悠久会には資格取得をサポートする制度が充実しているので助かっています」
伊達さんが考える「就労支援」には、施設の利用者だけでなく、自身と同じように病気や事情を抱えながら働く人も含まれる。
「病気を抱えていると『仕事にマイナスの影響を与える』と悩む人は多いと思います。ですから、病気を抱えている人でも働きやすい仕事や職場環境が、もっと広まってもいいのではないかと考えているんです。悠久会には理解のある上司や同僚が多いので、この環境をさらに発展させたい。マイナス思考にならずにプラス思考にできるような施設のあり方を模索したい。自身の経験を生かして、職場環境の整備に力を注ぎたいです」
プライベートでは「スポーツを通じて地域の高齢者との交流や健康維持に取り組みたい」と話す伊達さん。悠久会で培った知識と経験を生かし、福祉の力で地元の島原を盛り上げていく。