強度行動障害について学ぶ

様々な障害についてご紹介するコーナーです。
支援を必要とする人に適切な配慮が行えるよう理解を深めていきましょう。

どんな障害特性がありますか?

自分の体を叩いたり、時には頭を床に叩きつけたりといった自傷行為が見られます。
他に「○○しない」「○○できない」といった否定的な独語が多くなったり、大声を張り上げて泣いてしまわれる時がある。

このような行為が頻繁にみられるため特別な支援が必要になっている状態のことを「強度行動障害」といいます。
その為支援を行う職員にも専門的な知識・技術の習得が求められることはもちろんのこと、障がい者福祉施設の総合的な支援体制と構築が求められます。

コミュニケーションが苦手です。

だから、行動で自分の意思を表すことがあります。

強度行動障害者の多くは、「話し言葉で伝える。」「話ことば以外の方法で伝える。」「適切なタイミングで伝える。」の3つが苦手な人たちです。その為、活動や物を要求したり、本人が拒否したい気持ちを言葉で表せないことが多くあります。

「突発的に他人を叩いたり」といった行動も、本人にとっては自分の気持ちを現すためのコミュニケーションの意味を持っています。

こうした行動により周りの人だけが困っているよう考えがちですが、叩いてしまった本人自身が困っていて、言葉で伝えることが出来ずに「叩く」という行動をとってしまったというケースもあります。

支援を行う私たちには、障害特性が関連しているという視点が必要であり、その場の行動だけで判断するだけでなく、行動の背景にある理由を理解し、適切な配慮を行うことが大切です。

Staff interview

強度行動障害者支援者養成研修を受講して

「利用者さんを変えようとするのではなく、周りが支援を変えてみる、理解することが必要」・「愛情もやる気も要るが、技術も必要」これは、研修で強く心に残った言葉です。

強度行動障害は、生まれつきの障害ではありません。利用者さんの“伝わらない”“わからない”の積み重ねが、不安・不信を生み出し、それが自傷・他害等に繋がっています。

研修では、利用者さんの表出している行動が、何に起因しているのかを追求することで、どんなサポートが必要なのかが見えてきたり(※氷山モデル)、支援者間で対応を統一すること(支援手順書)が、利用者さんの安心に繋がったりすること等、多くのことを学べました。

試行錯誤しながらではありますが、“困っているのは利用者さんの方”だということを、心に留めて、日々の支援にあたっています。

※氷山モデル=その人がとる行動を水面に見えている氷山の一角ととらえ、見えない水面下にある要因(大部分)に着目し支援しなければ解決には至らないという考え方。

社会福祉法人 悠久会
就労継続支援事業所 きらり作業所
職業指導員 上田さん
社会福祉法人 悠久会
就労継続支援事業所 きらり作業所
職業指導員 上田さん

支援の場ではこんなことを実践しています

「集中できない、落ち着かない」環境を整えてあげる
大声を出して泣いてしまったり、自傷行為がみられる場合には、静かな部屋で一人落ち着いてもらったり、パーテーション等を使って一人の空間を作ってあげます。
「作業が嫌になってしまった」
状況に合わせ出来るものに変更
本人の状況によって作業が行えない場合、出来そうな別の作業を提供することで、作業に戻ることができる場合があります。
「言葉だけでは伝わらない」
視覚的な情報で伝えてあげる
作業を伝えるとき、言葉だけでなく、ジェスチャーを交えると理解ができます。声の大きさや、力加減を数字で伝えてあげます。

「共生社会の実現」のために、障害について正しく理解しよう。
人それぞれに合わせた本当に必要な支援を。